小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.03 本の登場人物で、理想的と思う男性は誰ですか?
《読者からのリクエスト》
彼氏いない歴3年です。実生活ではなかなか素敵な出会いもなくて。というか、そもそもどういう男性が好きなのか、自分でもよくわからなくなっています。まずは本を読んで、男性に“ときめき”を覚える・・・というところからリハビリしたいです。多部さんのオススメは?
《多部さんのオススメは・・・》
何に対しても一途に向き合う人を見ると、
やっぱり素敵だし、自分も頑張れる
私、大好きな人が2人いるんです。そのふたりとは、小笠原勇之助くんと羽山秋人!・・・この名前を聞いただけで、漫画の作品名がわかる方がいて、さらにすごく好きな2人だったとしたら、絶対に気が合うから友達になりたい!!というくらい私が好きな漫画を紹介します。
それは『あずきちゃん』と『こどものおもちゃ』です。
『あずきちゃん』は、すごく素朴な主人公あずきちゃんが、クラスで一番の人気者で転校生の勇之助くんに恋をするところから物語が始まります。その勇之助くんがなんとも純朴で誠実で、少し鈍感なところもあるけど頭もよくて。クラスの女子みんなが勇之助くんに注目をしているのに、勇之助くんはそんなこともおかまいなしにあずきちゃんに興味を持ち始め、そしてあずきちゃんに対してひたすら一途なんです。こんなパーフェクトボーイがいるのかっていうくらい勇之助くんは素敵で、 読みながらただただニヤニヤしていました。
『こどものおもちゃ』は芸能界で子役として活躍している主人公倉田紗南が通っている学校のクラスメイト羽山秋人との恋愛や紗南ちゃんのお仕事、家族、友情が描かれており、とても笑えて、時に悲しく、そして感動する物語なのです。小学生のときにはまって、何度も読み返して何度も泣きました。
そこに出てくる羽山秋人は、少し家庭環境が複雑で家族ともほとんど会話をせず、学校一の問題児でませている一匹狼の男の子なんです。しかし、次第に紗南ちゃんだけには心を開くようになり、羽山秋人もどんどん穏やかで真面目で友達や家族想いの優しい男の子へと性格が変わっていきます。無口で寡黙で、表情に感情があまり出なくて。自分の意見を強く主張しないのですが、でも心のなかでは常に紗南ちゃんのことを考えていて、求めていて、大切に思っているんですよね・・・と書いていて改めてキューンときてしまいました。
私も小学生ながらに、紗南ちゃんと羽山秋人のふたりの関係みたいに、ボケたり突っ込んだりしながら漫才みたいな会話をして、たまに言い合いながらも、心のどこかで支え合って、いつもお互いを必要としている、そんなカップルに憧れたりしたものでした。
私はよく、取材などで好きなタイプを聞かれると、“飲み会で隅の方にひとりで座っているあまり会話に参加していない、無口なのに誰かの発言に対して急にフッ・・・と笑うような人”という答え方をするのですが、完全にそれは羽山秋人からきているんです。
勇之助くんと羽山秋人。まったく違うタイプのキャラクターではありますが、共通しているのは、彼女に対して一途というところなんです。女性に対してだけでなく、自分の好きな事や、仕事や目標や夢に対して一途に向き合っている人は、やっぱり素敵だし、応援したくなるし、尊敬できるし、側にいていい影響を受けたくなります。そして、自分も努力をしないと、と思わせてくれます。
子供の頃に感じたドキドキやワクワクって、意外と大人になってからも鮮明に覚えていて、その感覚のポイントって歳を重ねてもあまり変わらないものだったりしますよね。きっと私が興味を持つ男性は、今後も勇之助くんや羽山秋人みたいな何事にも一途な男性なんだろうなと思います。
今回のオススメ本はこちら!