小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優 多部未華子さんの連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ!」。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.49 いわゆる“名著”って難解そう…。何から挑戦すればいい?
《読者からのリクエスト》
日本が誇る文豪たちの作品から、文学作品の奥深さや日本語の面白さを学びたいです。数々の名作の中でも、文学初心者が読みやすい作品を教えてほしいです。
《多部さんのオススメは・・・》
描写ひとつひとつが綺麗で、その中に壮大さをも感じられる小説
今の季節にぴったりかしらと思い、川端康成の『雪国』を読んでみました! 名作中の名作と言われるこの小説。きっと多くの方が読んだことのある作品だと思うのですが、恥ずかしながら私はこれまで読んだことがなく、唯一冒頭の有名なセリフだけをかろうじて知っている程度でした。ひと昔前の文豪と呼ばれる小説家たちの作品は、私にとって感情移入が難しいものであり、文体もなかなか入ってきづらかったので、これまで避けてきた傾向があります。ですが、この『雪国』は想像していたよりも会話が多く、東京から雪国へと向かう島村と、甲斐甲斐しく病人の介抱をする葉子が出逢う汽車の中から物語がスタートして想像力を働かせやすかったです。登場人物の関係性等や話にすんなりと入っていくことができました。何と言ったら伝わるのか難しいのですが…ひとつひとつの登場人物の会話や情景がとてもドラマチックな文体で表現されていて、儚い美しさというのか、繊細で、か細く、脆い小説に感じたんですよね…。
私の感想をうまく表現できないのがもどかしいのですが…描写ひとつひとつが綺麗で、その中に壮大さをも感じられる小説であり、これが“名作”と呼ばれる所以なのかな、と思いました。今まで私が読んできた小説とは明らかに空気感が違うような気がしました………って!!文豪の本を今から読むんだ!!という私の気負いみたいなところからきている、ただの勘違いかもしれませんが(笑)。意気込み過ぎて、何かを感じなければ!と思い込んでどこか構えた結果、ただならぬ空気感を受け取ったように思っているだけなのかも? 皆さんはこの物語を読んでどう感じるのか、感想を聞きたいくらいです。
有名な作品なだけあって過去に映画化もされているので、小説で描かれた美しい世界を映像でも観てみたいなと思いました。今季は『雪国』のように、東京にも降りますかね?? 積もるかな?? 今のところ暖かい冬のスタートなので、それほど雪が降る気配はないですが…。雪国と無縁に生きているので、たまに東京に降る全然積もらないシャバシャバした雪ですら、私はテンションが上がるのです。
今回のオススメ本はこちら!
親の財産で気ままな生活を送る青年・島村と、いいなずけの療養費を作るため雪国の温泉町で芸者になった駒子。ふたりの魂が触れあう様をつぶさに描き、人生の哀しさ、美しさをうたったノーベル文学賞作家の不朽の名作。
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