小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優 多部未華子さんの連載「多部未華子がBOOKコンシェルジュ!」。読者からの本選びの相談や質問に応えて、オススメ本をご紹介します。
vol.48 ページをめくる手が止まらなくなるほど、集中できる小説を教えてください。
《読者からのリクエスト》
集中力が足りず、なかなか本を読み切ることができません。そんな私でも日常を忘れるほど本の世界に没頭でき、思わず一気読みしてしまうような小説に出合いたいです。
《多部さんのオススメは・・・》
最後の最後まで一文たりとも見逃してはいけない小説
とっても読み応えのあるミステリー小説、道尾秀介さんの『雷神』を読みました。これは冒頭から最後までなかなか重い…。読後はなんとも言えない思いになり、決して軽い気持ちで読める小説ではありませんでした。じっくり時間をかけて読んだほうがいいと思います。
妻を突然の事故で失い、男手ひとつで娘を15年間育ててきた藤原幸人に、ある日脅迫電話がかかってくることから物語が始まります。心労で倒れた幸人の療養のために娘はかつて幸人が住んでいた村への旅行を提案するのですが、そこからまた30年前に起こった別の事件の解明、またさらに別の…と、どんどん話が広がっていくのです。
負の連鎖というか、良かれと思って誰かが誰かを想いながら行動しているのに、こんなにも悪い方向へ悪い方向へと事が運んでしまうのか。運の悪さというか、こんな不幸ってあるのかなと思わずにはいられない展開が続きます。たらればを言い出したらキリがないですが、どうやったらこの家族は少しでもいい方向に進んだのだろうか、こうだったら…ああだったら…と、フィクションにもかかわらず、ついそんな気持ちで読んでしまいました。最後の最後まで一文たりとも見逃してはいけない小説、久しぶりに読んだ気がします。
今日は1日ツイてなかったなぁと、つくづく負の連鎖が続く日ってありますよね。ひどい睡眠不足で心身共に疲れ切っていて、なのにどうしても翌日の朝に使いたかった食材を鍋で丸焦げにしてしまい、改めてその食材を買いに行こうと思ったら土砂降りで。そんな土砂降りの中かかってきた電話で友人からの言葉にものすごく傷ついて、スーパーでひっくひっくしゃくり上げるほど泣きました、つい先日(笑)。誰かに見られたら恥ずかしいとかそういう気持ちにもならないほどズタボロでした(笑)。みなさんにも、そんな日ありますよね♡ あれ…ない?
私はとにかく寝ることで心が満たされるタイプなので、睡眠不足というのは心の水分がカラカラになるのと同じことなんだなと思いました。心が荒まないように健やかに生きていきたいものです。あれ、私はなんの話をしてたんだ?
今回のオススメ本はこちら!
妻を亡くし男手ひとつで娘の夕見を育ててきた藤原幸人。娘には決して知られたくない秘密を隠し続けてきたが、ある日1本の脅迫電話がかかってきて――。企みと仕掛けと小説の愉しみがたっぷりと詰め込まれた1冊。
【多部未華子がBOOKコンシェルジュ!】をもっと読む。