歌うことから、演じることへ。世間の注目を一身に集めた10代から、今なお輝きを放ち続けている篠原涼子さん。全身に纏(まと)う柔らかなオーラと共存するのは、GINGER世代が憧れてやまない、唯一無二の個性と芯の強さ。永遠のミューズである彼女の、さまざまな“女の顔”を紐解きます!
過酷な運命を背負う母親役
まもなく公開になる映画『人魚の眠る家』での篠原涼子さんには、本能が直撃されるような「何か」を感じて、身震いするはず。
「自分でも不思議だったんですけど、今回の台本は、何度読んでも涙が出ちゃったんです。すごく感情移入して、イメージトレーニングしなくても、その場所に行くと自分自身がすっと役に入り込んでいるのがわかりました。堤幸彦監督に求められたのは『強い女性』。私自身、母親として強く生きたいと思うし、息子たちにもそういう背中を見せたいとも思う。だから、頭で考えるとか緻密に計算するとかでなく、“動物的”に向かっていった感じなんです」
弱さと強さは表裏一体
作家・東野圭吾氏がデビュー30周年を記念して書いたベストセラー。禁断のヒューマンミステリーの映画化。篠原さんは、愛する我が子の悲劇に直面し、過酷な運命に翻弄されながら「狂気」とも言える行動でただひたすらに我が子を守り抜こうとする母親、薫子役を演じています。
「薫子は本当は冷静に考えていて、揺るぎない『軸』がある。そうでありながら、大切なもののためなら振り回されてしまう『人間力』もちゃんとあるし、でもさらに、そこに振り回されないように、軸を強く持ち直そうとする部分もあって。お部屋もきれいに整えていて家庭的だし、子供たちを育てる教育者としてもしっかりと見つめてあげている。 旦那さんとはちょっとうまくいってないけれど、それでも彼をしっかり理解しようとしているし・・・。人として、女として、妻として、そして母としての強さを感じます」
篠原さんが思う“女の強さ”とは、その裏や奥に弱さを抱えているからこその、しなやかで穏やかで温かなもの—―。
弱さや醜さを見せつけていいのが夫婦
この映画では、母と同時に、妻としての女性のあり方も見えてきます。すでに離婚を決めていたふたり、ところが悲劇が起こったことによって、皮肉にも絆が深まり、ある意味“理想のふたり”を見せられるよう・・・。
「泣き叫んだり狂気めいたりなど、本当の意味で自分をさらけ出すことは、旦那さんの前でしかしていないんです。 自分がどん底に落ちたときに一番支えてくれるのはこの人という形だったと思うんです。全部を受け止め、理解し、支え、最終的に妻の心を掴み取ってくれてる・・・。自分の弱さや醜さを見せつけていい、それが夫婦。気持ちのすれ違いがあったとしても、最終的に修復するのが夫婦なのかなって。そこからまた恋が発展するとか、再びときめきが生まれるとかそういうことではないかもしれないけれど、それが、家族の愛の形なんだと思いますね」
11月16日(金)全国公開!
「『あなただったらどうする?』と問いかけるところもあれば、そういうことを押し付けるのでなく素直にハラハラドキドキさせるところもある。決して自分が出演しているからでなく、作品として、今まで観たことのないものだと、確信しています」
薫子に迫られたつらく悲しい選択とは? 究極の愛を描いた感動大作『人魚の眠る家』は11月16日(金)全国公開です。
【監督】堤幸彦
【脚本】篠崎絵里子
【原作】東野圭吾『人魚の眠る家』(幻冬舎文庫)
【出演】篠原涼子、西島秀俊ほか
篠原涼子(しのはらりょうこ)
1973年8月13日生まれ、群馬県出身。´90年、東京パフォーマンスドールとしてデビュー。´94年には「恋しさと せつなさと 心強さと」が大ヒット。以降は『アンフェア』シリーズをはじめ「ハケンの品格」など数々のドラマや映画で主演女優として活躍。今年は『SUNNY 強い気持ち・強い愛』の熱演も話題に。