綺麗な言葉、使っていますか?/言葉は女の武器になる!

職場でも家庭でも、自分の居場所を心地よくするためのキーポイントとなる言葉選び。“言葉”を仕事にするアナウンサーの八木早希さんに、大人の女性なら身につけておきたい言葉の選び方や、コミュニケーションのコツをナビゲートしていただく連載「言葉は女の武器になる!」。今回は、日々大切にしたい感謝の言葉について。

今一度「ありがとう」の美しさを

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女性として、俳優として、格好良い生き様を貫かれた樹木希林さん。特別な絆で結ばれた夫・内田裕也さんからの最期の言葉「ありがとう、ありがとう」とともに旅立たれたそうです。その言葉に込められた深い愛、その美しさを想像し涙しました。

また、テニス全米オープンで優勝した大坂なおみ選手。対戦相手セリーナ・ウィリアムズ選手の度重なる警告の末の結果に、優勝スピーチでも観衆の大ブーイングは止まず・・・そんな中でも、大坂選手は「試合を観てくれてありがとうございます」と感謝。

グランドスラム初制覇という特別な瞬間を素直に喜べないものにしたセリーナ選手にも「ありがとう」と涙ながらに頭を下げました。どんな時でも相手への敬意を忘れない美しい心が垣間見えました。

「ありがとう」
今回は、その感謝の言葉を日々どれだけ大事にしているかを再確認する回にしたいと思います。

感謝の言葉は、相手を柔軟にする

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インタビューで初めて会う方々への最初の言葉は、「お忙しい中、お時間を頂きありがとうございます」「お会いできるのを楽しみにしておりました。今日はありがとうございます」「大変な状況の中、インタビューに応える決断をしてくれてありがとうございます」

など、率直な感謝の気持ちを言葉で伝えるようにしています。丁寧に扱ってくれる人、接してくれる人に心を開きやすいのではないでしょうか。心を開くということは、本音を話してくれるということ。居心地のよさそうな表情で、本音をたくさん出してくれたインタビューはアナウンサーの仕事としても有意義なものとなります。

そして、心を開いてくれたことに感謝の気持ちを伝えて締めくくります。感謝の連鎖が、お互いの時間を気持ちの良いものにします。

感謝の気持ちを欠いていると・・・新人時代の失敗から

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新人時代に、今でも顔を覆いたくなる失敗をしました。それは、あるアウトレットのお店での生中継でのこと。デパートでも人気のお鍋が、アウトレットだと約半額! 理由は、梱包している箱が汚れていたり、潰れてしまっているからでした。

新人だった私は、とにかく、「お得!」ということが言いたかったのです。そして、スタジオのタレントさんとの掛け合いで、「安いねー箱なんていらないもんね!」「そうですよねー箱なんて、すぐ捨ててしまいますものね!」という会話を交わしました。

すると、視聴者センターにクレームの電話が。「今日の八木さんのリポートには大変傷つけられました。あの箱を作っているのは、夫の会社です」

「お得」と言いたいがために、誰かの仕事をけなした・・・
そして、一番してはならない、誰かを傷つけた・・・
仕事の失敗に留まらず、人として未熟な自分に落ち込んだことを覚えています。

それから、すべての仕事、モノに人の思いが宿っていると思うようにしたら、
自然と綺麗な言葉が出るようになりました。電車が動くのも、職場の廊下がきれいなのも、顔の見えない誰かの仕事のおかげです。

イライラしている時こそ、「ありがとう」

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お手洗いの貼り紙「いつもきれいに使ってくれてありがとうございます」、もしかしたら、本音は「もっときれいに使わんかい!」かもしれません。それでも、「ありがとう」という言葉を使うことで、相手を柔軟にしているのです。

約束のメールが遅い、報告がない、クレームをつけたい時こそ「ご連絡頂きありがとうございます」「いつもお世話になりありがとうございます」から始めるのはいかがでしょうか。

その配慮を汲み、より一層の配慮と努力で返してくれると信じています。

また、こちらが失敗をしてしまった時も「ご指摘ありがとうございます」と、萎縮せず、堂々と挽回を図りましょう。

職場での敬意や配慮を表す言葉は、心の余裕と美しさの表れです。歳を重ねる度に、若さは失いますが、美しさを失うとは限りません。

最後に、美しい人の名言を。
「美しい唇であるためには、美しい言葉を使いなさい」
オードリー・ヘップバーンより。

文/八木早希
撮影(TOP写真)/中西真基
ヘア&メイク(TOP写真)/吉田彩華(VAN COUNCIL EBISU)


八木早希/フリーアナウンサー
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八木早希/フリーアナウンサー
1978年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。2001年毎日放送入社しアナウンサーに。2011年フリーへ転身し、日本テレビ「NEWS ZERO」キャスターを3年間務めた。大勢の政治家、著名人、ハリウッド俳優らへインタビューなど国内外の取材経験も多数。現在は、NHK「ぐるっと関西おひるまえ」の司会を務めるほか、コミュニケーション等に関する講演活動も行っている。
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