連載『プロジェクトS』 都市型水族館アクアパーク品川にリピーター続出の理由とは? 人気の秘密大公開!(前編)

商品やサービスを通じてSpark(ときめき&ひらめき)を発信している、働く女性をクローズ アップする連載『 プロジェクトS 』。“S”はもちろん“Spark”の頭文字です。商品制作の舞台裏や仕事に対する想いなどをインタビューしていきます。企画や研究開発に携わる同世代の彼女たちから、仕事を楽しむヒントやコツが得られるはず!
今回は、アクアパーク品川で働く女性にインタビュー。昨年度は年間来場者数174万人を記録したこの都市型水族館は、デジタルテクノロジーと海の世界を融合し、季節に合わせた企画が注目を集めています。この施設の広報を担当する山田亜希子さんのお話から、水族館の舞台裏に迫ります。

 撮影/山越翔太郎 

テクノロジーがもたらす、新鮮な驚きと感動

―本日はお時間いただき、ありがとうございます。さっそくですが、この水族館のコンセプトを教えていただけますか。

〈 山田 〉アクアパーク品川は、水族館というカテゴリーを超えたエンターテイメント施設を目指していて、「音・光・映像と海の生き物の融合」をテーマにしています。たとえば水族館に年に数回しか訪れない人にも、そこにエンターテイメント要素があることで「プロジェクションマッピングを観にいこう」「イベントを楽しみたい」というプラスアルファの目的を持ってもらうことができます。テクノロジーと融合して見せ方を工夫することで、さまざまな角度から海の生き物のことを好きになる人が増えたらいいなと考えています。

―館内ではどのような“テクノロジーとの融合”が見られるのでしょうか

〈 山田 〉2年前の2015年7月に水族館をリニューアルオープンした際に、LEDライトを採用したクラゲ展示エリアを新設したり、タッチパネル水槽などを取り入れました。ドルフィンパフォーマンスにプロジェクションマッピングを導入したのはその年の11月です。

当館では「季節や昼夜の可変性」をもうひとつのコンセプトとしていて、営業時間は午前10時から午後10時(※時季により異なります)。家族で盛り上がりたい、会社帰りにしっとりと楽しみたい――など、ご来館目的はさまざま。昼夜でお客様層が大きく変わるため、それぞれのお客様のライフスタイルに合わせて見せ方に変化を付けるようにしています。

また、品川駅から徒歩2分という場所にある都市型水族館なのでリピーターも多く、年間パスポートの所有者は現在約6万7千人。リピーターの方に対してもいつも新鮮な演出を提供したいと考えています。その変化の部分を展示生物の魅力だけでなく、テクノロジーで補っています。

海の世界の魅力を引き出す独自の見せ方

―テクノロジー分野で企画・演出・制作を手がけるクリエイティブカンパニー、NAKED(ネイキッド)とのコラボの経緯を教えてください。

〈 山田 〉実はリニューアル以前からコラボレーションのお話は出ていたのですが、水槽展示エリアの規模感が小さかったこともあり実現出来ずにいたのです。だからリニューアル時に、何か一緒にできる形にしたいという思いがありました。水族館をひとつのエンターテイメント施設として考える私たちのコンセプトと、ネイキッドさんが手がけるコンテンツとの相性がとても良かったのです。

―音・光・映像による演出が魅力的なドルフィンパフォーマンス。イルカの動きとそれらを合わせるのはかなりの苦労があったのでは?

*ドルフィンパフォーマンス…円形型のスタジアムでは、360度どこからでもショーを楽しむことができます。ダイナミックなイルカショーに音・光・映像を駆使した演出で、昼と夜ではまた違ったパフォーマンスが見られるのも特徴。

〈 山田 〉映像に合わせるのはトレーナーです。イルカたちの動きはトレーナーとのコミュニケーションによって生み出されます。プロジェクションマッピングを取り入れた頃には、トレーナーたちもリニューアル後にウォーターカーテンを付けた360度の舞台に慣れていたので、そこまで難しさはなかったと思いますが、イルカたちにサインを送るタイミングなどの点では大変だと思います。昼と夜で演出を変えているのですが、夜のショーはあえてナレーションがない演出なので、特にライブ感の強い舞台のような緊張感はありますね。

最先端エンターテイメントが味わえる水族館を目指す

―季節ごとの企画展の内容はどのように決めているのでしょうか。

〈 山田 〉「TOKYO最先端エンターテイメント」を提供することを目標に、スタッフ各々が最新情報をチェックしたり、プライベートで良いと思ったものをブレインストーミングしていき、スタッフ全員の頭の中で組み立てられたものを形にしていきます。私も電車の中や就寝前に急に思い付いたものなどは、すぐにスマートフォンのメモ帳機能に記録するのが習慣です。

たとえばドルフィンパフォーマンスの場合はイルカに直接触れ合うトレーナーたちのアイデアも生かすことが多く、トレーナー自ら衣装や音楽のイメージをネットなどで検索して案出しすることもあります。ベースはある意味手作りから始まり、それをネイキッドさんをはじめ、テクノロジー演出のプロの力も借りて実現させています。そしてイベントが開始されたと同時に、次の企画が進行します。お客様を飽きさせないように、次々と新たなイベントを仕掛けるので、広報活動も忙しいです(笑)。

―新しさを追求している分、スピード感も重要ですね。

〈 山田 〉そうですね。テクノロジーを採用するコンテンツ作りには時間がかかるので、先読みする力も大切です。たとえば冬のイルミネーションをゴールドにすると決めたのに今年の流行りはシルバーでした、なんてことにならないようにリサーチを重ねる必要があります。必ずしも流行に合わせなければいけないというわけではないのですが、流行を知った上でどういう見せ方にするかは気にしていますね。

私の場合は、メディアの皆さんから得た情報を企画会議でフィードバックしようと思っていますし、スタッフそれぞれが自分なりに意識していると思います。

“魚たちの生態を伝えるため”の話題性に富んだ仕掛けづくり 

―現在開催中の「イケ魚パラダイス」(〜2017年10月1日)はSNSでも話題になっていますよね。

*イケ魚パラダイスとは……館内に設置された“魚の声が聴けちゃうよシステム”を利用し、イケてる魚たちがイケてるセリフでゲストをおもてなしする企画。人気声優陣が全10種の魚たちによる甘いセリフで酔わせます。

〈 山田 〉すべてのコンテンツにおいて、ただ映像を見せたいのではなく、魚たちの生態を知ってもらうためのエンターテイメント性のある仕掛けを考えています。イルカのジャンプにしても桜吹雪と一緒に見せることで、より躍動感を感じていただきたい。それと同じで、今回は展示生物の魅力を面白く伝えようと、人気声優陣の方々にご協力いただいた企画です。

声優の力を借りて魚たちがささやく甘いセリフは、各生態の説明でもあるんですよ。たとえばカクレクマノミは、イソギンチャクに共生する生態を持っているので「今夜はイソギンチャクではなく、あなたにくっついて眠りたい気分です」と表現してみたり。

水槽の横の説明文はその場で興味を持ってご覧いただいても、なかなか記憶に残りにくいと思います。少しでも魚たちのことを知ってもらうために、ちょっとクセのあるセリフがあることで脳裏に焼き付くような仕掛けづくりを意識しました。

セリフは昼と夜、雨の日の昼バージョンの3パターンがあります。いろいろな生態を伝えたいという思いもありますが、これも常に新しい発見を提供したいという思いから出てきたものです。

スタッフ同士の会話にヒントがある

―トレーナーさんとはどのようなコミュニケーションは取っていますか

〈 山田 〉雑談の範囲で興味を持った海の生き物のことをよく質問しています。プロからするとどれも素人の疑問かもしれませんが、この何気ない会話のなかから「今すごい面白いこと言ってる!」と展示に活かすこともあります。

スタッフの人数が多いと細かなコミュニケーションを取ることは難しいのかもしれませんが、私達は株式会社横浜八景島という企業の中のアクアパーク品川というひとつの部署ですので、インフォメーション担当からチケットカウンター担当まで職種はいろいろですが、みんなでアクアパーク品川という意識が強く、密なコミュニケーションが取れています。

―水族館ウエディングもされていますね。どんな方が利用されていますか

〈 山田 〉当館で初デートをされた方や海好きのカップルも多いです。水族館を貸し切り、海中トンネルで挙式を行うアクアマリンウエディングと、ドルフィンパフォーマンスの会場で行うハートフルウエディングがあります。

ハートフルウエディングでは、ゲストや一般のお客様がショーを観覧された後におふたりに登場していただき、観客席の皆さんから祝福を受けるんです。ふたりの初めての共同作業では、イルカにジャンプサインを送っていただきます。

品川プリンスホテルのプランとして行っているので、水族館で行うオリジナリティとサプライズ感のある挙式と、しっかりとしたホテル披露宴が叶うのが最大の魅力です。

―山田さんのお気に入りのエリアは?

〈 山田 〉ゆらゆらと漂うくらげと、音と光の世界が楽しめるジェリーフィッシュランブルです。鏡張りの空間で自分だけの視点を見つけるのも楽しいですよ。SNSでもよくアップされていて、皆さんそれぞれの視点があるんですよね。ちょうど展示エリアの手前にバーがあるので、仕事帰りにお酒を飲みながら浮遊するくらげを鑑賞していただくのがおすすめです。

水族館の枠を超えたエンターテイメント施設として、鮮度の高いパフォーマンスや展示を楽しめるアクアパーク品川。その舞台裏には最先端技術を積極的に取り入れ、生き物の魅力を最大限に伝えるためのアイデアと仕掛けが施されていました。
「施設のオープン時は、新しいということ自体を魅力に感じてお客様は来てくださるもの。その興味を引っ張り続けるために、オープン半年後の冬から早速イベントを仕掛けはじめて、攻めの企画展開に。それが評価していただけたのかな、とうれしく思っています」と話す山田さん。
海の生き物を身近に感じながら、最先端エンターテイメントを体感できる。興奮のひとときが思い出として残ることが、何度もリピートして行きたくなる理由ではないでしょうか。

次回は広報の仕事に留まらず、企画にも携わる山田さんのお仕事ライフをお聞きします!

『アクアパーク品川』
東京都港区高輪4-10-30(品川プリンスホテル内)
TEL:03-5421-1111 <音声ガイダンス>
営業時間:〜2017年8月31日(木) 9:00-22:00、2017年9月1日(金)〜12月31日(日) 10:00-22:00
定休日:なし
※営業時間は予告なく、急遽変更となる場合がございます。
http://www.aqua-park.jp

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