経沢香保子の仕事論~上司・部下との上手な付き合い方

中間管理職についている人も多いアラサー世代。読者アンケートを見てみると、上司と部下との人間関係に疲れてしまっている人も多いようです。また、管理職に就いていなくても、後輩が続々と入ってくる世代。自分の立ち位置の確立に迷っている人もみられました。起業家・経沢香保子さんの連載、今回のテーマは上司・部下との付き合い方について。自分が気持ちよく働くためのアドバイスをいただきました。

 取材・文/GNGERweb編集部 

人間関係は訓練で上手くなる

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―以前、GINGER読者に職場の人間関係の悩みについてアンケートをとったのですが、上司・部下(後輩)との板挟みという環境、またその対応の仕方に悩んでいる人が多くいました。人間関係を円滑に、また自分が疲れずに働くためのアドバイスをいただけますか?

「人間関係の調整という意味では、中間にいる方は板挟みになってしまうこともあると思います。上司と部下の意見が違うため、それに疲弊してしまうわけですよね。でも、上司と部下に挟まれていると悩んでいるのは、正直カッコ悪いと思います。
それは、会社の方針や自分のミッションを理解していないから悩むのでは? 自分のミッションが明確であれば、それを達成するために上司や部下にどう伝えたらいいか考えればよくて。細かい調整は必要ですけれどもね・・・。
なので、上司と部下の意見が食い違っていても、“自分たちが何を実現させなくてはいけないのか”ということに目を向ければ、両者は納得すると思いますよ。
半径が短いところの権力争いと、自分のエゴやプライド、小さい軋轢(あつれき)などもあると思いますが、そこを気にしているうちは、本物のビジネスパーソンにはなれません。理想と現実を擦り合わせて結果を出すのがプロですからね! 頑張りましょう」

人間関係は維持されていても結果が出ていないのならば何も生まれない

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―人間関係で悩むよりも前に、業務目標やミッションを達成するためにはどうしたらいいか、思考をシフトさせることが大切ですね。

上司と部下の合意をとらないといい仕事ができないということはありません。いい仕事とは何か、成果を出すとはどういうことかを考えていかないと、結果に結びつくまでに時間がかかります。人間関係を円滑に進めることは重要ですが、理解されない人に囲まれているのであれば、それよりも結果を出した方が早いし、みんな納得しますよね。
人間関係は維持されているけど、結果が出ないままというのは、少しずつ自分の首を絞め、それこそスッキリしない仕事っぷりではないでしょうか。

何のためにやっているのか、自分はどうしたいかというふたつのことがはっきり周囲に伝えられれば、そこから話が進むのではないでしょうか」

自分の意見に自信を持つ

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「上司と部下の顔色ばかり伺っていると、板挟みの被害者であるという発想になってしまいます。なので、まずは、自分がしたいこと対して、どう調整すればいいかを考えましょう。まずは、意見をしっかり持つこと。自分の意見がはっきりしなければ、うまく伝えられず、より人間関係が面倒になってしまうのではないでしょうか。

その仕事は何が目標なのかを明確にしてコンセンサスを得ることが第一。その上でどうやって理解してもらうかというのは、テクニック論になってきます」

上に意見を通したいときは同意の得られるポイントを探す

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-自分の意見や意思はあっても、上に通らない場合もあるかと思います。そんな場合はどうしたらよいでしょう?

どんな考えでも、合意をとれる部分はあると思います。例えば私の場合、区役所にキッズラインの仕事で用事があってよく行くのですが、それは私たちの課が違うとか、それは前例がない、まだルールになっているというふうに言われることもあります。
でも、私が“もし、妊婦さんの選択肢が広がれば、区民のためになるのでは?”と切り出すと、“そうですね”と言ってくださいます。

その“そうですね”と、合意を得られた部分について、深掘りしていけばいいのです。どうしたら実現できるかを教えてもらえばいい。
例えば上司がNOと言っても、同意を取れる場所をみつけて、それを実行するにはどうしたらいいのか、合意と、上司の顔を立てることをバランスよくやっていくと、次のアクションにつながります。

上司に対しての尊敬は絶対に必要です。新たな自分の意見を反映させてもらうためにも、過去のルールが作られていることに敬意を払うのは重要だと思う。

時代やニーズが変われば、会社も変わっていかないといけないので、今まではこうだったけど、これからはこういう方法もありますよね、っていう意見が出てくると思います。

そうやって合意と共感をとりながら、この場合はどうでしょうか?という提案や、どうしたらこの案が通りますか?という聞き方をする。できないことに怒るよりも、どうしたら実現できそうかを聞く方が、よっぽど建設的です

仕事の答え合わせは3~5年後

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「私は“日本にベビーシッター文化を広めたい”と起業しましたが、それに対してベビーシッターなんて広まらないとか、日本は保育園だけで十分、母親はそこまでして時間がほしいのかとか、いろいろとご意見はあります。もちろん私は、それを否定はしません。

ベビーシッターという選択肢があれば、助かる人がいると私は考えていて、そういう人たちに向けてサービスを充実させることが私の目的であって、反対意見を言う人たちと対立したり、その意見に悩んだりすることは、私にとっては関係ないからです。

反対意見があるからといって、その人たちを否定して自分の思いを主張もしません。ただ、私の中には仮説があり、社会はこうだったらいいなとか、自分はこうしたいなとか思いを少しずつ形に変えているだけです。キッズラインがとても便利だったら幸せになる人が増えるのではないかという思いだけです。

すべての人からの同意は得られなくても、いずれ幸せになる人が増えるということで、結果はあとからついてきます。
つまり、私は、仕事の答え合わせは3年後、5年後と考えています。やりたいことを達成するためには、今日明日合意がとれなくても関係ないという気持ちでいればいいのではと思います。

自分が本当に正しいと思う倫理観や成果に向かって邁進していくことが、気持ちよく働くために必要なことだと考えます」

上司と部下の間で疲弊してしまっている人は、自分の考えをしっかり持ち、それを押し付けるのではなく上手に伝えることが大事。今の目標や、ミッションを見直してみましょう。


経沢香保子/起業家
ナビゲーター
経沢香保子/起業家
リクルート、楽天を経て26歳でトレンダーズを設立。2012年東証マザーズ上場 。現在は、1時間1000円からスマホでベビーシッターを呼べるキッズラインを運営。
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