経沢香保子の仕事論~決断力の前に必要なのは、逆算力

仕事でもプライベートでも優柔不断になりがちで、決められなければならないタイミングでなかなか決められない。もっと自分に決断力があれば・・・と悩む読者も多くいます。 そんなことから、今回の経沢香保子さんの連載で「決断力の身につけ方」をお伺いしようとしたところ、決断力よりも前に逆算力が必要であるという、なるほど、もっともなご回答をいただきました。みなさんは、どんなシーンにも決断力が必要だと思い込んでいませんか? 迷うのは、ゴールがわかっていないから。この考え方を身に付ければ、決断力のなさで悩むことはなくなります! 

取材・文/GINGERweb編集部

成功している人は、目の前は迷わない

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-仕事でもプライベートでも肝心なところで決断できないことに対して悩む人が多いようなのですが、決断力をつけるためには何が必要でしょうか?

「そうですね、おそらく、判断できないのは、決断力のある・なしではなく、ゴールがわかっていないからでは?と思います。

例えばですが、パーティーに着ていくドレスを探すのに、どのセーターがいいかと悩む人はいないですよね? 何が言いたいかというと、ゴールが明確であれば、見当違いのことで悩むことはないということ。

視野が狭くなってしまうと、目の前にあることのなかで、最適なものを選ぼうとしてしまいますよね」

-確かに! 決められないのではなく、決めるための道筋が整ってないということですね。

「はい。決められる人というのは、明確なゴールが決まっているので、目の前にあるものでは悩まず、そのゴールに即しているかどうかで考えます。

いろいろなところで話に上がる言葉なのでご存知の方も多いかもしれませんが、楽天で働いていたときに三木谷さん(楽天株式会社創業者 三木谷浩史さん)が“飛行機を改良して宇宙に行けたのではなく、宇宙に行くと決めたからアポロができた”という話をよくされていて、本当にその通りだと思っています。

恋愛でも、今が楽しくて付き合っているならそれでいいし、その人と結婚するかどうかを考えるなら、結婚生活をイメージしてから逆算すればいいと思います。

仕事も、人生の決断も、ゴールを明確にして、それをやるべきかやらざるべきかと考えるのがもっとも効率的。決断力よりも前に、まずはゴールイメージを磨く力をつけましょう」

ゴールに向かう途中で迷ったときは優先順位で逆算する

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-なるほど、モヤモヤが晴れた気がします。決められないという悩みには、決断するのが怖いという声もあるようです。

決断するのが怖いという悩みは、間違ったらどうしようと不安になるということですよね。そもそも合っていることに対して悩むことはないですから。

正解かどうか自信がないという悩みに対する回答は、やはり逆算力をつけることですね。

逆算しても自信がないなら、それをうまくやったことがある人に聞いてみるとか、わかるまで自分なりに調べるとか、いろいろな方法でイメージを近づけていくのがいいと思います。

そして、いつまでに、何を、どんな状態で遂行するという、アウトプットや目標のイメージが明確だと、自分だけで考えるのではなく誰かに聞いた方が早いとか、遅れてしまっているから手をうつべきかなど、すべきことがすぐにわかる。そこを思い描けていないと、効率が悪くなってしまいます」

-経沢さんがお仕事で迷うことはありますか?

「仕事で迷うことは、ほとんどないですね。
もし迷っている社員がいたら、いつも“ビジョンから逆算しよう”とアドバイスしています。

キッズラインでは、サービスをどうやってアップデートしていけばお客さんやシッターさんの満足度が上がるか?を第一優先に考えています。
キッズラインのお客さんを喜ばせるとか、育児の選択肢を広げるというところから逆算すると、どう考えればいい?と言うと、わりとみんな腑に落ちて、方向性が定まります。

新規事業を始めるにあたり、収益やターゲットがどうのこうのという話になってしまうと、どんどん複雑になってしまうので、理想の状態は何?を、常に問いかけるのです。

売り上げも大事ですが、ビジョンのなかで考えると、二の次。
ゴールへの優先順位の中で、また逆算していくことが必要なのです。

私が迷った場合も、お客さんのためにはどちらがいいか、またどちらを選ぶとみんなが喜ぶか、シッターさんが喜ぶかということを軸に考えます」

-具体的に今考えているサービスはありますか?

「キッズラインのシッターさんを例にあげると、今すごく人数が増えてきているのですが、フリーランスだと不安だという人もなかにはいます。
その不安を払拭するには、フリーランスで入れる保険をつければいいのかな。働き方をよくしてあげたいという想いからの提案なので、保険がつくとうれしいとしたら、どんな保険がいいのか。というところを考えていきます。
そこからは実際にユーザーに聞いてみたり、どんな保険があるのかを専門家に聞いてみたりしていきます。

自分の頭だけで解決できないときは、同じ悩みを解決した人に聞きに行くか、調べるか、本を読むかですよね。

まずゴールから逆算して、自分でどこの道をどうやって歩いて行けばいいのか、ざっくりと方向性を決めて、そのプロセスでここは右に曲がればいいのか左の方が近いのかって迷ったときには、専門家や先輩に聞く。

いちいち決断していたら人生疲れてしまうので(笑)、まずは合理的に考えたらいいのでは?と思います。そして、“決められる人”になるには、決断力をつけようと思うのではなく、逆算思考で考えること、人に聞くこと、事例を知ることだと思いますね」

-ゴールが明確だと自然と思考も整理されて迷わなくなりますね。最後の事例を知るということはどういうことでしょう?

「意外とパターンを知らない人って多いものです。例えば大儲けする投資話など、うまい話はないのに、自分だけは大丈夫と思って騙されてしまうなど。
歴史がそういうのはおかしいと言っていますよね。パターンを知らないと思わぬ落とし穴にハマってしまうこともあります。

そういう意味で、何かを決めるときは、逆算力、人に聞く力、事例を知ること。この3本柱が大切です」

極端に言うと仕事に決断力は必要ない

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「極端に言うと、仕事に決断力はいらないのです。

仕事というものは、必ずニーズを持っている人がいて、それに応えることで成り立ちますよね。

お客さんや社会、さらには上司のニーズに合っているかを考えること。それに合っているかどうかを照らし合わせる。どちらが正しいか迷ったら専門家に聞いてみる。そうすることでおのずと道は見えてくるはずです。

もし、それでも迷うなら、好きな方を選べばいいと思います。
最後の最後は好きなことを選択すれば、後悔しないと思いませんか?

こう話すと最初から好きな方、直感力を働かせていい選択をしようとする人もいるけれど、それは個人の考え方なので好きにしていいとも思いますが、そう決めたのであれば、相手に嫌われようと、評価が下がろうと文句を言ってはダメですよね。

そして、自分が決めたことを正解にして行くような行動力も必要だと思います。

いずれにしても、結論としては、失敗したくない人は、逆算思考をしていけばいいと思います」

決断力の前に逆算力。物事を合理的に考えるクセをつけると、道は見えてくると教えてくれた経沢さん。
何かを決めるという行為の先には、必ず目的があります。今迷っていることがある人は、そもそも何のために行おうとしているのかを考えてみると、納得できる答えが得られるのではないでしょうか。


経沢香保子/起業家
ナビゲーター
経沢香保子/起業家
リクルート、楽天を経て26歳でトレンダーズを設立。2012年東証マザーズ上場 。現在は、1時間1000円からスマホでベビーシッターを呼べるキッズラインを運営。
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