経沢香保子の仕事論~転職活動に失敗しないための心得

年度末は、新たなキャリア形成や転職などを考えることの多いとき。起業家・経沢香保子さんの連載では、転職、副業などをキーワードに、新たな挑戦へのアドバイスを掲載しています。今回のテーマは転職に失敗しないための考え方について。
経沢さん自身もリクルートから創業間もない楽天への転職を経験したのち、2回の起業。現在、1時間 ¥1,000からスマホでベビーシッターを呼べる「キッズライン」CEOとして活躍されています。転職経験を踏まえた価値観や、人を雇う立場にいるからこそ感じることなどをお伺いしました。ぜひこれからのキャリア形成の参考にしてください!

取材・文/GINGERweb編集部

実現したい事はなにか?を考える

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― さらなるスキルアップや、キャリアシフトを考えて転職しようとしている方に向けて、自分が掲げた条件や社風とのミスマッチを防ぐための心得を教えていただけますか?

「採用される側は、選ばれる側と無意識に構えてしまうと交渉に弱い立場になります。なので“とりあえず入社させてもらうこと” を目標にしないことが、まず肝心ですよね

また、結婚も就職も一緒ですが、“何を実現したいか”を明確にすること。これも、あれもという細かいマッチングに走ると、手に入れたあとも細かいことが気になり、相手への依存思考を生みがちです。なので、〇〇のためにその会社に入るのだ、と転職で実現させたい意思を明確することが重要なのです。これを絶対勝ち得たいという明確なものがあれば、そこに向かって頑張ろうと思えますよね」

50万円年収アップという理由だけでは転職しない方がいい

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ー 転職活動で、単に年収アップを目標に掲げる人も多いかと思いますが、そういった目標設定についてはどうお考えですか?

「転職は人生を変えますが、年収50万円は人生を変えないと思います。例えば年収50万円アップは、月収換算すると4万円程度。税引き後は、2~3万円のアップ。それで人生は変わりません。だとしたら、副業を考えた方が賢いと思います。

私の場合ですが、リクルートから楽天に転職するとき、年収が1/3くらい下がりました。でもお金ではなく経験が欲しかったので、その転職は大成功だったと思います。

そのころの楽天は創業まもなく少人数で、転職によりそれまで以上に忙しくなることは確実でしたし、すべてはこれからでした。だから、私にとってはよかったのです。何から何まで任せてもらえました。

私の目標は30歳までに何者かになること、でしたから。

もともとリクルートで紙媒体の営業をしていたのですが、“これからはインターネットの時代になる”と、営業力を生かしてITを学ばないといけないと思いました。もちろんリクルートも進化とともに、いずれはインターネットに着手したでしょう。でも、私にとって、人生を逆算して考えると、1日も早くITの世界に慣れるべきだと思った。収入が減ることについては後からどうにでもなると考えていました。

お金よりも自分のビジョンの実現についての目標を設定したことが、のちのち生きてきます」

転職を考えるならこれから伸びる業界へ

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「個人的な考えですが、業界からまず考えるなら、できるだけ新しい業界、伸びそうな業界に転職するのがいいと思います。そうすると、その業界が広まったときに第一人者になれますよね。
例えば、仮想通貨が本当の日本通貨になるかわからないですが、その世界に身をおいていれば、時代が変わったときに第一人者になっているわけです。

私は今、ベビーシッターの文化を日本に広めたいという想いで会社を経営していますが、ベビーシッターの文化が日本に定着したら、それを共に作り上げたことはすごく誇りに思えるのではないでしょうか?
そのときは会社も成功しているし、事業で社会に貢献できていると思えると、社会への価値創出になりますよね」

焦って引いたくじに当たりは少ない

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「結婚も就職も、みんながするからといって焦る必要はありません。焦って引いたクジってあまりいいクジではないと思いませんか?
それよりも何がやりたいのかを明確化し、実力を伸ばして会社から求められる存在になるとか、あなたと結婚したいと思われる人になった方が自分の輝きを増すことになりますよね。

面接を行う立場からみても、何を求めてそこに行きたいのか、何を得たいのかが明確な人の方が、活躍のイメージが湧きます。逆に、欲望が分散している人は何をやりたいのかわかりにくく、そこそこの待遇で傷つけないように丁寧に扱っておけばいいかなと思うと、挑戦や抜擢という経験をさせるのをためらってしまいます。

転職に対して明確な答えがないのであれば、考え直してもいいのかもしれません。人間は手に入れたものに対しては、文句をいいやすくなってしまいます。でも“これが欲しい”という明確な意思があれば、そこに集中して、それ以外はあとからついて来ると思いますよ」

何よりも大切なのは、自分の目的や目標を明確にすることと教えてくれた経沢さん。不満からの転職からは何も生まれません。もし気持ちに迷いがあるのであれば、もう一度自分と向き合ってから、新たなキャリアを考えてみるのがいいかもしれません。


経沢香保子/起業家
ナビゲーター
経沢香保子/起業家
リクルート、楽天を経て26歳でトレンダーズを設立。2012年東証マザーズ上場 。現在は、1時間1000円からスマホでベビーシッターを呼べるキッズラインを運営。
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