仕事で苦手な人と話さなければいけないときの、大人の会話術

職場でも家庭でも、自分の居場所を心地よくするためのキーポイントとなる言葉選び。“言葉”を仕事にするアナウンサーの八木早希さんに、大人の女性なら身につけておきたい言葉の選び方や、コミュニケーションのコツをナビゲートしていただく連載「言葉は女の武器になる!」

前回は、同姓や先輩の機嫌を損なわず、上手に関係を築く方法をお届け。そのなかで、職場での同性との繋がりは大きな力になり得るともお伝えしましたが、とはいえ、女性同士だからこそのトラブルもあるかと思います。 それに女性に限らず、どうしても理不尽で苦手な上司や同僚にはどのように対処したら良いか具体的な会話術をお伝えします。

無理に苦手な人と関わるのは生死の問題!?

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どうしても苦手な人と会話をしたり、関わらなければならない時にかかるストレスは、山中で野生の熊に追いかけられるストレスと同等だそうです。生きるか死ぬかの究極のストレスと同じなのです!
そんなストレスに、ほとんどの社会人は堪えようとしますが、すると体調や精神を崩すことにも繋(つな)がってしまうため非常に危険な状態です。正しく、自然な方法で対処しましょう。

突然ですが、本当に野生の熊に追いかけられたら、どうしますか?
大多数の方は「全力で逃げる」か「死んだふり」の二択を選ぶでしょう。

職場でどうしても苦手な人に相対するときも、以上のふたつしか道はありません。では、会話術において「全力で逃げる」か「死んだふり」とはどういうことなのか。とにかく関わらないようにするための会話術&対処術をお伝えします。

接点を最小限におさえるべし

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できるだけ会話の接点も最小のものにします。話しかけられた時の返事は、毅然と「はい」「いいえ」「承知しました」文字通り、最小限の言葉で返します。
不機嫌やイライラのネガティブ感情も愛想笑いなどの無理なポジティブ感情も出さず、無表情であること。無表情とは、無反応=関わらない=全力で逃げる&死んだふりに匹敵します。

個人的な感情で仕事にならないと組織に迷惑をかけることがあると感じたら、周りの人に仕事を振ることも試みてください。
「○○上司とも共有していますので、そちらにお問い合わせください」
「担当は〇〇に引き継いでいますので、そちらで打ち合せください」
これも毅然と淡々とすることがポイントです。

ですが、関わらないようにしているのに相手から踏み込んで嫌な事言われたり嫌がらせをされる場合は・・・

例えば、「先輩として言いたいことがある」と呼び出された場合。
前向きな仕事のアドバイスなら素直に受け入れましょう。それ以外で嫉妬や嫌がらせ、とばっちりと感じたら、ここも出来るだけ関わらない=受け止めないことです。

会話上「受け止めない」ということは「無言」「無視」です。ちゃんと聞いたことは伝える意味で目は合わせますが、その上で無言で去ってみましょう。
これほどクールな「無視」はないかと思います。

・「今日の事は、他の人には言わないでね」
どんどん言いましょう。職場でできるだけ周知をして、仲間や理解者を増やしましょう。抑止力になるはずです。

・円満に事を終えたい時
経験上これが一番平和に、関わらずに済んだ言い回しですが、どんな嫌なことを言われても「貴重なお言葉ありがとうございます」で、右から左へ聞き流します。どんな時も「接点は最小限に」ですから、間髪入れずにすぐに「ありがとう(そして、さようならー)」とすぐにその場を去ります。

行きたくない飲み会に誘われる時も、「お誘いありがとうございます。夜の会食は苦手で遠慮させて頂きます」でよいと思います。断る時ほど、間髪入れずスパッと言葉にしましょう。

・上司や職場の言質を取っておく
これは知人の弁護士からのアドバイスですが、職場や例えば近隣トラブルなどでも、直接争わないことが大事です。どのような被害に遭っているか、ストレスを受けているかを上司や管理組合などに事前に相談。その上で、ストレス元の人からのアクションがあった時に、

「その件に関しては、担当を外れていることは上司も了解していますので」
「取り合わなくても良いと、会社に規定もあるようなので」
「働き方改革で、その辺りは尊重されているとのことだったので」
「何かあったら、上司が取り合うという事でしたので」
「その辺りは気にしなくても良いと管理組合も言っていますので」

上記のように組織や上司、規定が、という風に「大元に守られている」ことを伝える言い方で関わらないのが賢明です。

とにかく対人ストレスは耐えなくても良い大変なストレスということ!
自分を大事にする意味で、勇気を持って試してみて下さいね。

文/八木早希

〈TOP写真〉
撮影/中西真基
ヘア&メイク/吉田彩華(VAN COUNCIL EBISU)


八木早希/フリーアナウンサー
ナビゲーター
八木早希/フリーアナウンサー
1978年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。2001年毎日放送入社しアナウンサーに。2011年フリーへ転身し、日本テレビ「NEWS ZERO」キャスターを3年間務めた。大勢の政治家、著名人、ハリウッド俳優らへインタビューなど国内外の取材経験も多数。現在は、NHK「ぐるっと関西おひるまえ」の司会を務めるほか、コミュニケーション等に関する講演活動も行っている。
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