大ヒット中のピコ太郎「PPAP」 ヒットの理由を顧客インサイトから分析

驚異的なブームを起こしているピコ太郎の「PPAP(ペンパイナッポーアッポーペン)」。先日、米国のヒット曲ランキング「ビルボード・ホット100(Billboard Hot 100)」入りした最も短い曲として、ギネス世界記録に認定されました。 なぜこんなにも多くの人の心に触れたのでしょう? そもそも、人々の関心を呼ぶにはその人の意識に認知される必要があります。しかし、日々膨大な情報を処理している脳にとって何らかの価値ある情報でない限り、意識に上ることはないでしょう。だとすれば、何が脳にとっての価値だったのでしょう。

脳が「価値」を認める瞬間とは?

そこで私が注目したのは、「無意味」で、かつ「ある種の規則性」が含まれている歌詞です。普通に考えると、無意味な情報は価値がないはずです。ところが、今回はそこに「ある種の規則性」が加わったことで、脳が価値を認めた(=「脳が喜びを感じた」と解釈)ということになるのではないでしょうか。

・「ペン」には「パ」行の音が1個
・「アップル」には「パ」行の音が1個
・「パイナップル」には「パ」行の音が2個
・「ペンナップル」には「パ」行の音が2個
・「ペンパイナップル」には「パ」行の音が3個
・「ペンナップル」と「ペンパイナップル」を組み合わせた「ペンパイナップルアップルペン」には「パ」行の音が5個。

これに対し、脳内ではこんなことが起きているのではないでしょうか。
・パッと聞いたところでは、歌詞自体に、意味が見出せない
・一方で、規則性を感じる。よって「謎」だ
・「謎」なら解けた時の喜びが大きい
・よって、意識に知らせて、そこに含まれている意味をさらに解析させよう

脳が面白いかどうかを感覚で捉える

もうひとつの可能性は、幼時の記憶です。意味もわからず言葉を発すると大人が喜んでくれるので何度も繰り返し、繰り返すことが楽しい記憶になり、繰り返された音を聞くと脳が喜び、意識に上るというメカニズムです。ディズニー映画の「シンデレラ」にでてくる「ビビディバビデブー」や、ちびまる子ちゃんのテーマソング「ぱっぱぱらりら」もこの例なのかもしれません。

まとめると、「PPAP」ブームは「謎ときの喜び」と「繰り返すことの喜び」を「脳が面白い」と感じ、関心を呼んだのではないでしょうか。理屈ではなく単純に「脳が面白い」と思うことが人の関心を惹きつけるきっかけになったのです。これをマーケティング的に言うと、「顧客インサイト」を「理屈」ではなく脳が喜ぶかどうかといった「感覚」で捉えるということが重要ということになります。

仕事に追われ、論理的な判断に明け暮れるだけでなく、「脳を楽しませる」ことに時間を費やせば、新たなビジネスのヒントがうまれるかもしれないですね。
(グロービス経営大学院 溜田信)

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