食べたら危険! でも、カワイイ毒キノコの魅力

秋の到来とともに増してくる、色々な欲求。 あたなは、読書系? それとも食欲系? 暑くもなく、寒くもない行楽シーズンの秋は毎週がお出かけ日和。 山ガールだけでなく、最近注目されてる森林浴で癒しを求めに行くのもいいかもしれません。 山や森にお出かけすると、必ず出合うのが“きのこ”。普段は、何気なく通りすぎてしまう“きのこ”ですが、知れば知るほど面白くて、かわいくて、でもやっぱり危険なヤツ。 知識の秋にちなんで、そんな“きのこ”の魅力をご紹介します。

きのこグッズの人気モチーフ ベニテングダケ

毒きのこの代表格、ベニテングタケ。赤い傘に白い点々。愛らしいその姿から、多くのきのこグッズのモチーフになっています。
ベニテングタケには幻覚作用があるので、かつて、マヤ・アステカ文明のシャーマン(祈祷(き とう)師)は宗教儀式に使い、中世ヨーロッパのバイキングたちは、戦いの前に精神を高揚させるために食べたといいます。
『不思議の国のアリス』に登場する、アリスが食べて、大きくなったり小さくなったりするきのこも、ベニテングタケではないかといわれています。

漢字表記 : 紅天狗茸
学  名 : Amanita muscaria (L.) Lam.
生える場所 : カンバ類や針葉樹林の林床
生える時期 : 夏~秋
傘の直径 : 5~15cm
柄の長さ : 10~24cm
中毒症状 : 食後20~30分ほどで、腹痛など胃腸系の症状。幻覚など神経系の症状を伴うことも。


『不思議の 国のアリス』の 毒きのこ

人々の心を惹きつけてやまない毒きのこたち。
物語や絵画、グッズなどの中に、毒きのこを探してみましょう。

19世紀イギリスの童話作家、ルイス・キャロル。キャロルの代表作、『不思議の国のアリス』「芋虫の忠告」に登場するきのこは印象的です。体が縮んでしまったアリスに、芋虫がきのこを齧るようにすすめます。アリスが、ちぎったきのこを両手にひとかけらずつ持ち、一方を少し齧ると急に体が縮み、もう一方を齧ると首が途方もなく伸びてしまいます。そのきのこは、ベニテングタケがモチーフだったのではないかともいわれています。


タバコのカードに毒きのこ

かつてアメリカでは、タバコは簡単な箱に入っていたため、中のタバコが折れやすく、補強するために厚紙が入れられていました。その厚紙にイラストが描かれるようになり、そのイラストはしだいにコレクション対象となりました。絵柄は、乗物や動物、風景などさまざまでしたが、毒きのこの絵柄も。


ベニテングタケは幸せのシンボル

図版提供:アマナイメージズ


ベニテングタケは、幻覚性の中毒をもたらす毒きのこですが、姿がかわいいので、置物や壁掛け、布の柄やアクセサリーなど、さまざまなグッズのモチーフにされています。
また、ヨーロッパでは幸福をもたらすきのことして愛され、森でベニテングタケを見つけると幸せになるといわれています。クリスマスには、ベニテングタケグッズやベニテングタケを描いたクリスマスカードを贈る習慣があるほどです。

新井文彦
ナビゲーター
新井文彦
1965年生まれ。きのこ写真家。明治大学文学部卒業。著書に『きのこの話』(ちくまプリマー新書)がある。ライター業、コピーライター業に加え、夏から秋にかけては、北海道・道東地方で、ネイチャーガイドにもいそしむ。おもなフィールドは阿寒の森。各地で写真展やトークショーなども行っている。森の空気まで感じられる写真と言葉で、きのこや森の魅力を伝えている。ほぼ日刊イトイ新聞にて「きのこの話」連載中。
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