どうにか彼女を喜ばせたい!【E-girls山口乃々華連載 ののペディア/無邪気】

E-girlsメンバーの山口乃々華さんが、瑞々しい感性で綴る連載エッセイ「ののペディア」。今、心に留まっているキーワードを、50音順にひもといていきます。

第33回「む」:無邪気

すべての色が柔らかく映る、夕暮れどきのこと。

子どもたちの無邪気な笑顔がわたしの前を走っていった。

シャララララ。なんの楽器だろう、例えるならウインドチャイムのような音が聞こえてきそうな、そんな笑顔だった。

わたしは、そこから目が離せなくなってしまって、その子たちの行く先を目で追いかけていた。

その子たちだけの美しい音が、弾けるように広がっていく様子は、見ていないと損をする。と思えたほど。


ようやくわたしの心のピントが合ったような気がした。

子どもたちの笑顔が、わたしのなかに居座っているツノを立てた部分を、さらっとなだめてくれた。
いまに夢中になることのたのしさや、ただ素直に笑うだけのそのシンプルな気持ちに、わたしの心は動かされた。

わたしも、子どもに戻って走り回りたいな。とぼそりと呟いた。

いまだって、まだまだ子どもなのだけれど、あのときのような無邪気さを、こんなふうに羨ましく思っている。

いくら大人になったとしても、どんな人のなかにも、無邪気な子どもは必ずずっと居るはずだ、と思っているけれど、
わたしのなかのその子は、最近つまらない思いをしていたのかもしれない。
そんな自覚はなかったけれど、喜ばせてあげられていなかったのだろう。


どうにか彼女を喜ばせたいと思い、早速わたしがしたことは、ふと湧いてくる“食べたいな”という気持ちを無視しないこと。
それをちゃんと作って、食べてみること。

スーパーで、あれこれと迷わずに欲しいものだけをサッと選び、家に帰ったらなにも構わずに作る。

洗濯物を畳んでいなくても、なんでもいい。
洗い物が多くなるとか、めんどくさいとか、そういう気持ちも一切持たない。ひたすら作る。

すると料理が家事でなくて、図工の授業みたいに感じられた。自由に、切ったり巻いたりするのが楽しかった。

好きなものは多く入れたい。はみ出たりしたって、それがいい。そんなささやかな自由さが、わたしをワクワクさせた。


それから、夜中にコンビニに行ってみた。
夜中のコンビニというのもなぜかワクワクする。

大好きだったプリンセスのお城ができるという、ブロックのおもちゃが目に留まったので、カゴに入れる。アイスもカゴに入れる。

プリンセス、いまだって好きだ。かわいい。と思った。


それから、遠くに住む友達と会う計画を立てた。

朝から晩まで、どこでなにをするか、そんなことで頭をいっぱいにしていると、お腹の底から“たのしい”が湧き上がってくるようだった。


そうこうしているうちに、わたしのなかにいる子が喜んでいるのがわかった。身体が軽くなって、すんなりと笑顔が出てくる。


考え込んだり、我慢したり。
真剣に向き合っていることがあると、ついすべての時間を真面目にしか使えなくなってしまいがちだけれど、自分のなかにいる子どもの存在を忘れてはいけない。

その子が拗ねてしまわないように。



【ののペディア/無邪気】
子どもの心。
じつは、誰もが持っているもの。

山口乃々華 / E-girls
ナビゲーター
山口乃々華 / E-girls
3月8日生まれ、埼玉県出身。2011年にLDH主催の「VOCAL BATTLE AUDITION 3」を経て、2012年発売の「Follow Me」よりE-girlsとしてデビュー。2014年から女優業もスタートし、映画「イタズラなKiss THE MOVIE」シリーズ、ドラマ・映画「HiGH & LOW」シリーズやHulu版「崖っぷちホテル!」にも出演する等、活動の幅を広げている。この夏は7月10日(金)全国ロードショー映画「私がモテてどうすんだ」にヒロイン役にて出演! BL大好き妄想ヲタク女子なのに・・・4人のスーパーイケメンDK(男子高生)にモテまくる!? 笑って!歌って!踊って!抱腹絶倒のミラクル☆ラブコメディ!
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