さよなら、またね。【E-girls山口乃々華連載 ののペディア/夕立】

E-girlsメンバーの山口乃々華さんが、瑞々しい感性で綴る連載エッセイ「ののペディア」。今、心に留まっているキーワードを、50音順にひもといていきます。

第37回「ゆ」:夕立

青と白のコントラストがはっきりしていた夏の空。
淡い色合いの空もいいけれど、パキッとキマった空もなかなか元気が出る。
ふと、涼しい風がわたしの横を通り過ぎた。あっという間に空から雨が降ってくる。

「あ、夕立だ」

この季節だけの特別な時間。


空いているカフェに行き、わたしは本を読んだり、動画を観たりして好きに過ごしていた。
閑散とした店内で、少し離れたところに座っている3人組みの女の子たちの姿が目に止まった。
なにやら相談会のようだ。ひとりの話を聞いている。

数分がたったとき、さっきまで笑っていたはずの女の子のうちのひとりが号泣し始めた。何があったのだろう。わたしには事情がまったくわからない。とにかくボロボロ、ボロボロと彼女の目から涙は止まらない。洪水のように溢れ出した涙は、乾いて固まってしまっていた汚れを落とすために、何度も何度も流れているようだった。

慰めや励ましの言葉をかけてられているのに、それでもボロボロ泣いて、ゴシゴシ拭いて、その繰り返しは彼女が今までため込んできたもののお掃除のようでもあり、側から見ていたわたしからすれば、なんだか強く、美しくも見えて、きっとこれから輝くための準備だな、と思った。


さぁ、いつ止むんだろうか。
きっとすぐにまた晴れた空になるだろうに、今回はなかなか時間がかかっている。
空もお掃除が必要なのかな、なんて思っていたら、パーっと光が差し込んできた。


さっきの彼女も、わたしが席を立つころには泣き止んでいて、ケラケラと軽快に笑っていた。安心した。
彼女のおかげで、そのお店全体に、透き通ったいい匂いの空気が吹き込んできたようだった。
まるで夕立後に虹が出た空のような、そんな気持ちのいい空気。


ザーッと夕立の雨が降るように、顔をぐしゃぐしゃにして泣くことなんて、最近のわたしはしていない。

思春期っていつまでなのだろうか。大体は18歳ごろで終わるらしいけれど、人それぞれだろう。わたしはもう、思春期とは言えないのだろうか。少し寂しい、気もする。

思春期って夕立みたいに、突然大きな何かに覆われることが多かった。とても辛いけど、それはそれで大事な時間、大事な栄養だったと思う。

夕立が過ぎたと思ったら、少し安心できる。
時間が解決するって本当なんだ。と思う。

まだまだわかっていないことがあるだろうけれど、ほんの少し視界が開けたような気がした。
だいぶ、平和になってきた。

感情の起伏で忙しかったわたしはどこへやら。
さよなら、またね。

でも、きっとまたすぐね。

【ののペディア/夕立】
思春期みたいなもの


山口乃々華/E-girls
ナビゲーター
山口乃々華/E-girls
3月8日生まれ、埼玉県出身。2011年にLDH主催の「VOCAL BATTLE AUDITION 3」を経て、2012年発売の「Follow Me」よりE-girlsとしてデビュー。2014年から女優業もスタートし、映画『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ、ドラマ・映画「HiGH & LOW」シリーズやHulu版「崖っぷちホテル!」今年の夏には「私がモテてどうすんだ」にヒロイン役で出演する等、活動の幅を広げている。 2020年9月19日〜26日にアベマLDH祭り〜秋のLIVEスペシャル〜「LIVE×ONLINE IMAGINATION 」の開催が決定! E-girlsは9月25日(金)に出演予定。ぜひご覧下さい!
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