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LIVING恋愛・婚活

2019.05.11

【アラサーリアル婚活記⑮】恋愛以前の問題発覚!? 真実はいつもひとつの巻

20代なんてまだまだチヤホヤされてナンボでしょ!なんて思い過ごしていたら、気づけばアラサー&彼氏いない歴5年。周りは長く付き合っている彼と婚約秒読み!なんて女子が急激に増えだした。一方で、私はWEB系コンサル会社に転職し、毎日慣れない仕事に奮闘するも、このままじゃ気づいたときには30代突入してるかも・・・、とようやく焦りだした、ごく一般的なOL。ワタシ、一之瀬ゆりか 27歳のセキララ婚活ドキュメントをここに綴っていく。
前回、海外旅行中に偶然出会った東大卒弁護士というハイスペックなメンズと意気投合し、食事に行くことに。だがそこでは彼のうんちくトークが炸裂し、怪しい気配が漂う・・・。2回目のデートの行方はいかに!?

リアル婚活日記

(C)Yousefsh/Shutterstock.com

音楽鑑賞が趣味って言いたいだけじゃ?

ワインくんとオペラ鑑賞のためホールで待ち合わせ。ワインくんはビシッと決めたスーツに蝶ネクタイで、まるで出演者かのような姿で現れた。少し早めに待ち合わせたので開演まであと30分はある。何を話そうかなぁと思っていると、彼はおもむろにイヤホンを取り出し、こう言った。

ワインくん「早く来すぎちゃったね。僕は頭を音楽モードに切り替えたいから音楽聴こうかな」

そして隣でアプリを起動し、音楽を聴きはじめたワインくん。少しイヤホンから音漏れがしていたので、どんなクラシックを聴いているのかなぁと耳を傾けてみると、まさかのジブリ音楽が流れているではないか。

ゆりか(心の声)(クラシック聴くんじゃないんかーーーい〈笑〉)

チョイスが意味不明すぎて笑いをこらえるのに必死。しかも1曲だけならわかるけどその後もずっとジブリ縛りっていうね。音楽鑑賞が趣味っていってたけど、本当なのかしら。カッコつけたつもりなのか天然なのか分からなかったので触れないでおいた。

口癖は「僕の祖父、〇〇〇〇なんです」

その後、素敵な演奏を聴き終えて、パーティー会場へと移動した。そこには、見るからにお金持ちそうなおじさまやマダムたちが勢揃いで、さらにはメディアで見たことのある著名人や文化人もちらほら。明らかにワタシは場違いだと察し、立食形式だったので大人しく隅のほうでお酒をいただこう、そう思っていた。

しかし、ワインくんは会場にたくさん知り合いがいたようで、挨拶したいから一緒にまわろうと言うのだ。ひとりぼっちになるのも嫌だったのでしぶしぶ彼についてまわった。挨拶がひと段落すると今度は、いろんな人と交流したいと言い出し、近くにいたおじさまに声をかけると、その人は大企業の役員でかなりのお偉いさんだった。すると、突然ワインくんの口から衝撃的な言葉が。

ワインくん「僕の祖父、人間国宝なんです」

と言い出したのだ。そしてこう続けた。

ワインくん「もう亡くなってしまったので今では解除されてしまいましたが、その功績と伝統を継承し続けていきたいので、その活動をしていて美術展などもやっているんです。それで(~以下省略~)」

何を言っているのかさっぱりでポカーンと聞いていたが、どうやら彼の祖父は絵画で有名な人らしく、人間国宝に認定されていたということだけは分かった。話しかけられたおじさまも「それはすごいねぇ」と感心していて、「今度お食事にでも」という会話の流れになって連絡先を交換し、その場を離れた。すぐさま彼はワタシに顔を向けて、わざとらしい言い方でこう言い放った。

ワインくん「あ、ゆりかちゃんに言ってなかったよね、僕の祖父の話。自慢みたいになっちゃうのも嫌だったから隠してたんだけどバレちゃったね」

とドヤ顔。むかつくんですけど (笑)。隠す気なんてゼロだし、がっつり今さっきまで人に自慢してたよね? とりあえず、面倒くさかったので「すごいですね」と連発してその場は彼を持ち上げておくことにした。

そして、次に彼が声をかけたのは、全身ハイブランドで着飾り、大きなダイヤモンドの指輪をしたマダム。するとまた、例のキメ台詞炸裂。

ワインくん「僕の祖父、人間国宝なんです」

そう言って先ほどとまったく同じ話をし始めたのだ。連絡先を交換しては、次、とさらにその後も同じくだりが何人も続く。

「僕の祖父、人間国宝なんです」が口癖らしい。最初は弁護士の名前を売りたくて、交友関係を広めるためなのかなと思っていたけれど、それもどうやら違うようだ。

虚言は続くよ、どこまでも

お手洗いへ行こうと会場の外へ出ようとすると、ひとりの男性が声をかけてきた。

男性「一緒にいる〇〇くん(ワインくん)とはどういう関係なのかな? 長いお付き合い?」

ゆりか「えっ?いや・・・最近知り合ったのでまだよく知らないんですけど、今日はコンサートに誘っていただいて興味があったので来ました・・・どうしてですか?」

男性「余計なお世話かもしれないけど、彼のステータスに魅力を感じているなら今すぐやめたほうがいいよ。彼に絵を購入しないかっていう話を持ち掛けられた人を何人も僕知っているからさ。そもそも、あの話が本当かどうかも怪しいし」

ゆりか「あっ、そうなんですか。ご忠告ありがとうございます・・・(小声)」

あまりの動揺にどうしていいか分からず、男性にお礼を言い、会場を出た。

落ち着くのよ、ゆりか。絵を売りつけるって完全に怪しいビジネスだし、もしかして犯罪に手を染めている可能性もあるってことよね。それに「おじいちゃんが人間国宝」って話自体が怪しいわけで。情報が整理しきれず完全に怯えだすワタシ。モヤモヤしたまま会場に戻ると、今度は彼がお手洗いへと行くといって会場を出て行った。するとすぐに同い年くらいの女性が小声で話しかけてきたのである。

女性「あの、突然すみません。失礼なんですが、さっき一緒にいた彼の彼女さんではないですよね?」

ゆりか「あ、はい。最近知り合ったばかりで」

ゆりか(心の声)(今度は何よ~涙)

女性「彼とは顔見知り程度なんですけど、彼の職業って弁護士って聞いてますよね? それ、嘘らしいので信じないほうがいいですよ。あとあの絵の話も胡散臭いからあんまり関わらない方がいいと思います」

ゆりか「そうなんですか!? じゃあ本当の職業って・・・?」

女性「たぶん定職についてないんじゃないですかね。みんな本当のことは分からなくて。悪い人じゃないんだけど・・・」

ほんの10分程度の間に、まさかの展開を迎える(苦笑)。それだけ彼が虚言癖のあるヤバい人で有名ってことよね。すべて嘘だったなんて・・・。
弁護士だとてっきり思っていたし、疑いもしなかった。きっと東大卒も嘘なんだろう。

戻ってきたワインくんともう目を合わせることができない。彼を知っている会場の人は、全員ワタシを哀れな目もしくは「弁護士」と「人間国宝」というステータスに目がくらんで引っかかった残念な女だっていう目で見ているんだろうな。そう思ったらその場に居ても立っても居られなくなった。

ゆりか「そろそろ帰ろうと思うんだけど、先に出るね」

ワインくん「僕も一緒に出るよ」

一緒に出ることになってしまった。駅へ向かって歩いていると、もう1杯だけ飲みに行こうと誘われたが、行くわけもなくお断り。このままフェードアウトするべしと思い、帰宅後も連絡をせずにいたら、翌朝ワインくんから長文のLINEが届いた。「昨日はありがとう」という内容だけかと思ったら、そのあとに勘違いも甚だしいセリフが続いた。

ワインくん「昨日早めに帰っちゃったのは僕がゆりかちゃんにあんまり構ってあげられなかったからかな? それとも2回目のデートなのにホテルにお誘いしなかったから、もしかして怒ってる?」

ゆりか(心の声)(はぁぁぁぁ!? ポジティブ爆発ですか?)

理解不能な思考回路を見せつけてくれた虚言見栄張り男に、むしろ恐怖を覚えた。嘘をつくことでいい思いをして味を占めたのか知らないけど、あまりにも嘘で固めすぎて、きっと彼は自分が何者かわからなくなってるんじゃないかしら。
なんだかグレーゾーンな仕事もしているようだし、そのうち自分が弁護される側にならないように気をつけてほしいものだわ。会場でワタシに忠告してくださった方々、この場を借りて感謝を申し上げます。

女独身、27歳の戦い(婚活)の日々は続く・・・!

TEXT=一之瀬ゆりか

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