答えがひとつでないからこそ、面白い ――新境地を切り開く、俳優・吉沢悠の胸の内とは?

公開中の映画『エキストランド』で主演を務めているほか、『BRAVE STORMブレイブストーム』などの話題作にも出演し、今までとは違う新たな一面を見せている俳優・吉沢悠さんにインタビュー。正統派イケメンな顔立ちに大人の渋さが加わって、ますます魅力に磨きがかかる一方、その人柄は気さくで穏やか。そんな彼の今に迫ります。

 撮影/内山めぐみ

“人“を描くことを大事にしたい

きっと優しくて、人を大切にする人――撮影現場に現れた吉沢さんを前に、取材班は直感。交わした言葉はほんのわずかでも、目線や仕草に、他者への気遣いがにじんで見えます。演じるときも、その意識が向かう先は、”人”。

”人”を描くことを大事にしたいと思っています。たとえ悪役でも、見ている人にはただの悪ではなく、もしかしてこの人にはこういう面もあったのかな、というところまで感じてもらいたいんですよね」

その想いの裏側には、黒澤明や小津安二郎といった往年の巨匠たちが生み出した、日本の映画に対する憧れがあるのだとか。

「昔の日本映画は、今よりもっと人間臭かったと思います。人間の熱い部分だったり、汚い部分だったり、そういったものがぎらぎらと表現されていた。もちろん今も変わらず、映画人は人間の内面や空気感を描こうとするもので、あの時代ってきっと、今とは人と人との距離感が違っていたんですよね。特に僕はドラマ出身だからか、普遍的なメッセージ性を持つその時代の映画というものに、どこか憧れがあるんです」

そう話す吉沢さんが今回、映画『エキストランド』で挑んだのは、自分の都合で乱暴に映画作りを進めていく悪徳プロデューサー・駒田の役。今まで演じたことのないタイプのキャラクターに最初は戸惑いつつ、“人として”よくない部分をちゃんと持っていることに、面白さを感じたといいます。

「主役なのに、観ている人からはきっと感情移入してもらえないという不安はありましたが(笑)。ただ、駒田にはもともと映画に対する理想や憧れがあって、その制作に真摯に向き合っていた時期もちゃんとあったのだと解釈しています。そのなかで、現実とのギャップや、劣等感、プライドなどに阻まれて、ああいう悪の部分が作られていった。ストーリーのなかではそこまで言及されていませんが、そういった駒田の”悪”の根底にあるものを表現したいと思いました」

当初の台本では、駒田はただの“ひどい人“。そこに吉沢さんは、「なぜそうなってしまったのか」という理由を与えようと、役作りに取り組んだそう。

「自分が理解できる人にするというのが、ひとつの基準ですね。なんでそうしたんだろうってわからないままにしたくないというか。終盤にある、映画は人を幸せにするもんじゃないっていう駒田のセリフは、彼のなかに何かがあったことを感じさせると思います。そういった、キャラクターを形作る芯の部分を、大事にしたいんです

「結婚」が価値観を変えた

そうやって、人生の経験を積むごとに試行錯誤をして、役者としての深みを増していく。その過程はきっと試行錯誤の連続で、壁にぶつかることもあるのでは?

「そうですね。意識して自分を変えようと思っても、自分から出てきたものじゃないと、しっくりこなくてもう1回戻ったりとか、そうこうするうちに新しい道が見つかったりとか。僕、難しいものに出合うと、気になって頭から離れなくなるんですよ。ある程度クリアしないとリフレッシュもできないタイプなので、ひたすら向き合ってしまってけっこうつらい思いをすることもあります(笑)」

つまり吉沢さんは、考えるべきことはとことん考える努力家気質。それが自らを今へと導いてきたとはいえ、たまには息抜きも必要なのでは……と思ったら、最近は一大ブームでもある瞑想にはまっているのだそう。

「周囲に勧められて、最初は半信半疑で始めたのですが、やってみると気持ちがよくて。瞑想をするようになって以降、なんだか少し気が楽になった気がします。やっぱりいろいろ考えすぎてしまうタイプなので、焦ったりとか、こうしなきゃいけないっていう強迫観念みたいなものが生まれやすかったんですけど、最近は落ち着いてゆったり構えていられますね」

ライフステージの変化や持ち前の真面目さを活かし、役者として着実に歩みを進めている吉沢さん。カメラを向けたときの柔和な笑顔からは、その充実した胸の内が伝わってきました。最後に、39歳の今、来るべき40代に向けてどんな役柄にトライしたいか聞いてみました。

「女子ウケする役(笑)というのは冗談ですが、ちょっと大人の色気があるような役をやってみたいです。年を重ねてこそ出せる色気ってありますよね。男としてというのもそうですが、僕は人間としての色っぽさというものもあると感じていて。懐の深さとか、人望の厚さとか。身近にもそういう先輩がいて、かっこいいなと思うので、自分もそうなれたらと思っています」

よしざわひさし●1978年8月30日、東京都出身。1998年のデビュー以降、俳優として数々のドラマや映画で活躍。現在、映画『エキストランド』『BRAVE STORMブレイブストーム』が公開中。

『エキストランド』好評公開中!

監督:坂下雄一郎

プロデューサー:田中雄之

出演:吉沢悠、戸次重幸、前野朋哉、金田哲(はんにゃ)

公式サイト:http://extrand.jp/

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