わたしたちは、なぜ物事を先延ばししてしまうのだろう?

後回しにしていた仕事が気づいたら締め切り前。帰ったら家事をしようと思っていたのに、スマホを見ていたらもう寝る時間。今年は資格を取ると決めたのに、気づいたら2カ月何もしていない──。誰でもしてしまう先延ばし。早めに行動した方がいいなんてわかっているのに、なぜ行動できないのでしょう?

頭のなかはどんな状況?

先延ばししてしまうとき、私たちの頭はどうなっているのでしょう? さまざまなテーマについて「なぜ?」を掘り下げる超人気ブログ「Wait But Why」の運営者、ティム・アーバンのスピーチを紹介します。

アーバンいわく、先延ばししない人の脳には「理性的意志決定者」が存在しています。彼(彼女)が頭のかじ取りをしているとき、人間は何か生産的なことをするという理性的な決断を下すことができます。

では先延ばしする人の脳には何がいるかというと、これまた「理性的意志決定者」がいます。ただし、先延ばし癖を持つ人の場合はその横に「サル」がいます。このおさるさんが、理性的意思決定者から舵を奪ってしまうというのです。

脳内のサルが舵を手にしたとき、人はどうなるか。そう、先延ばしを始めます。大変な仕事があるけれど、締切は先だから今はこの楽な仕事をちゃちゃっと片付けよう。洗濯しなくちゃいけないけど、インスタで気になる服を見つけたからネットでちょっと探していみよう。ちょっと勉強でもはじめようか・・・と思ったけどドラマ1本見てからにしよう。などなど。

理性 VS サル

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脳内のサルは「いまこの瞬間」を生きています。過去の記憶も未来についての知識もなく、気にかけるのはただふたつ。ラクで楽しいことだけ。今を生きるなんてかっこよさげですが、後先考えずに今を生きてしまうと後で痛い目を見るのが人間社会の怖いところです。

この理性的意思決定者が、人間特有の、ほかの動物にはない能力を与えてくれるとアーバンは言います。「私たちは未来を想像し、大局を見ることができ、長期的計画を立てられます 。理性的意志決定者はすべてのことを考慮に入れ、今自分のためにすべきことをやらせようとします」

やるべきことをさせようとする理性的意思決定者とおサルさん。先延ばし癖がある人の場合、この2者のバトルがサルの勝利に終わりがちなのです。

火事場に登場するモンスター

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さて、そんな先延ばし屋の多くがサルに負けない瞬間があります。締め切り前です。多くの人は締め切り前や先延ばしの限界までくると、本気で仕事に取り掛かり始めます。このとき、脳内のサルは何をしているのでしょう?

アーバンいわく、脳内には締め切り前にだけ現れるレアキャラがいます。その名も「パニック・モンスター」。「パニック・モンスターはほとんどの場合眠っていますが、締め切りが迫る、面目を失いそう、職業上の危機、といった恐ろしい結末が近づいているとき突然目を覚まします。重要なのは、それがおサルの唯一恐れるものだということです」と彼は話します。

夏休み最終日の宿題からプレゼン前日の徹夜まで。あの火事場の馬鹿力は、このパニック・モンスターのおかげなのです。

一番危険なのは「締め切りがない」仕事

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結果万事うまくいったように感じますが、このパニック・モンスターが登場しないケースがあります。締切がない場合です。

個人プロジェクトをはじめたい。趣味を本格的に極めたい。ジムに行って健康的な体を手に入れたい。将来に役立つ勉強がしたい。家族と一緒の時間をとりたい。そういった締め切りのない目標や夢は、ずっと後回しにされてしまいます。それは、のちのちの不幸や後悔の種となって頭に残り続けるのです。

プレゼンの最後でアーバンは「人生カレンダー」を披露します。ただ箱がたくさん書いてあるだけのカレンダーで、この箱が90年の人生における各週にあたります。

「私たちはみんな、このカレンダーをじっくり眺めてみるべきだと思います。自分が本当に先延ばししていることは何なのか。誰でも何かは先延ばしにしているはずだからです」とアーバンは語りかけます。「これは我々みんなにとっての仕事です。箱がそんなにたくさんはないことを考えると、この仕事は今日にでも始めるべきでしょう」

気づいたらもう数年ため込んでいる、締切のない仕事はありませんか? まずはそこに締め切りを設けることも、あとの後悔をなくす予防策になるかもしれません。

文/タカハシアスカ


タカハシアスカ/ライター
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タカハシアスカ/ライター
ヨーロッパ在住ライター&時間を見つけてはふらっと旅に出るウィークエンドトラベラー。 長期の海外経験で培った感覚で、アラサー女性に刺さるものをピックアップ。 日々ユニークなものを求めて、ヨーロッパ各国をうろうろしています。
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