おうち時間に潤いを。美術館からの花便りに癒やされて

こんばんは、アートテラーのとに~です。
先日、おうちでチャレンジできることはないかとamazonでゴッホの《ひまわり》のジグソーパズル(2000ピース!)を取り寄せました。ひまわりはもちろん黄色、花瓶も黄色、背景も黄色という、黄色尽くしの難易度の高さ。1日2日で終わると高を括っていたのですが、大間違いでした・・・。朝から晩まで、買い物に行く時間すら惜しんで、ひたすらジグソーパズルに取り組み、完成するまでに結果10日もかかってしまいました。まさに強制的Stay Home。「もう少し外出を控えないと」と考えている方は、ジグソーパズルを取り寄せてみてはいかがでしょうか?

さて、5月25日に緊急事態宣言が全国で解除されましたね。博物館や美術館は入場制限付きであれば再開が可能とのこと。すでに再開した美術館もちらほらありますが、東京の美術館が再開するまでにはもう少し時間がかかりそうですね。くわえて、県をまたいでの移動ももうしばらく自粛が必要そうです。そこで気になったのが、美術館の庭に咲いている花。この時期に見頃を迎えるあの花たちは、今どうなっているのでしょうか。現地に取材しに行くわけにはいかないので、僕は家にいながら、美術館の皆さまにその様子をレポートしてもらうことにしました。(←決して手を抜いているわけではないですよ!)
各美術館の美しい花の写真を見て、少しでも心が癒やされましたら幸いです。

国宝級の燕子花

国宝「燕子花図屏風」(右隻)日本・江戸時代 18世紀 根津美術館蔵

5月と言えば、鯉のぼり、母の日、そして、根津美術館の《燕子花図屏風》です。毎年、この季節になると、表参道にある根津美術館では、名品中の名品、5千円札のデザインにも採用されていることでお馴染みの尾形光琳作の国宝《燕子花図屏風》が1ヵ月ほど公開されます。

ぜひ《燕子花図屏風》と合わせて楽しみたいのが、南青山とは思えない都会のオアシス、17000㎡にもおよぶ庭園の一角に咲き誇るカキツバタ。庭園の水辺を青紫色のカキツバタが埋め尽くす様は実に圧巻です。
今年の開花状況はどんな感じなのでしょう? 根津美術館の広報さんに伺ってみました。

「今年は残念ながらお客様がいらっしゃらなかったせいか、カキツバタものんびりしていたようです。毎年見頃を迎えるGW中の様子をお知らせできないので、Twitterで『#根津美術館のカキツバタ』とタグをつけて、過去の画像の投稿をお願いしたところ、タイムラインが青紫に染まるほどの投稿をいただき、うれしく拝見しました。
来年は無事に展覧会を開催し、展示室の国宝《燕子花図屏風》と、庭園の花の競演を楽しんでいただけることを願っております」

僕も毎年《燕子花図屏風》を鑑賞して初めて「5月が来たな」と実感していたので、そういう意味では今年はまだ5月になった気がしていません。来年は観に行けますように。

根津美術館
※5/27現在は休館中です。

やさしい花

  いわさきちひろ《花の国の子どもたち》  

子どもをモチーフにした絵を多く描いたいわさきちひろ。実は、生前に「子どもも花も大好き」と語っているほどに、花をモチーフにした絵も多く描いています。

そんな彼女の自宅兼アトリエ跡に建つちひろ美術館・東京の一角には、ちひろさんが実際に育てていた草花や樹木が植えられた四季折々の植物が楽しめる庭園があります。この庭園は今どうなっているのでしょうか? 美術館の方から庭園の写真とともに、こんなメッセージが届きました。

「庭仕事が大好きだったいわさきちひろが、一番数多く表現もさまざまに描き続けたのがバラの花でした。そんなちひろにちなんで設けられた館内の“ちひろの庭”では白いバラの花が見頃を迎えています。甘い香りを漂わせるバラの花も作品も、今年は実際にご覧いただけず残念ですが、早く今の事態が収束して、たくさんの笑顔に再びお会いできますよう、心から願っております」

「安曇野にあるちひろ美術館のほうも、今の時期はお花が見頃ですよ。安曇野では、ちょうど田んぼの代掻きと田植えが始まり、新緑がまぶしく美しい季節を迎えています。最近はとくにお天気が良く、青い空と北アルプスの残雪とのコントラストが美しいです。隣接する安曇野ちひろ公園では、ピンクの芝桜が見頃を迎えていますし、大花壇ではパンジーの株が大きく育ち、たくさん花をつけています。
東京では特に、お出かけしたいのを我慢している方がたくさんいらっしゃると思います。安曇野の写真で少しでも明るい気持ちになっていただけるとうれしいです」 

ちひろさんの作品と同じく、見ているだけで優しい気持ちになれる光景ですね。ちなみに、安曇野ちひろ美術館のコンセプトは「絵はみなくてもいい美術館」。そうは言っても、訪れる際には花も絵も併せて観たいところです。

ちひろ美術館 
※5/27現在は東京、安曇野ともに休館中です。


クレマチスは咲いているか

富士山の裾野に位置する静岡県長泉町にある「花・アート・食」がコンセプトの複合文化施設・クレマチスの丘。ここには全部で4つのミュージアムがあり、イタリアを代表する現代具象彫刻家、ジュリアーノ・ヴァンジの世界で唯一となる個人美術館「ヴァンジ彫刻庭園美術館」もそのうちのひとつ。初期作から近作まで、貴重なヴァンジ作品の数々を求めて、日本各地から多くの人がやってきます。

ヴァンジの彫刻作品と並んで多くの人がお目当てにしているのが、美術館の周囲に広がるクレマチスガーデン。こちらでは「つる植物の女王」と呼ばれるクレマチスが、なんと約250品種2000株以上も植栽されています! そんなクレマチスのベストシーズンは5月中旬。まさに今です。現在のクレマチスガーデンはどんな感じでしょうか?

「現在庭園では、早咲き大輪系のクレマチスが次々に開花しており、とても賑やかになってきました。ポール仕立てのクレマチスゾーンも、つるがどんどん伸びております。まだまだ蕾のものも多く、これからいっそう賑やかになりそうです。バラの開花も進んでおり、クレマチスとバラの競演も見られます。歩くと少し汗ばみますが、芝生に座って風にあたるのがとても気持ち良い時期です。
鳥のさえずりも響いており、虫やカエルの鳴き声も聞こえます。早くお客様にもお越しいただきたいですね」

この時期に訪れることが出来なくても、ご安心を。さまざまな品種のクレマチスが咲き誇るクレマチスガーデン。四季折々、一年を通してクレマチスが楽しめるそうですよ。コロナが落ち着いたら、ぜひご自身の目でクレマチスをご覧くださいませ。

ヴァンジ彫刻庭園美術館
※5/21より開館しています。
  

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美術の魅力をわかりやすく、面白く伝える、世界でただひとりの”アートテラー”。よしもと芸人時代に培った話力と笑いのセンスで、アートを語ります。日本を代表する数々の美術館で、公式トークガイドを担当。著書『東京のレトロ美術館』(株式会社エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)が好評発売中。
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