スウェーデン発「死のお片付け」って何?

2018年1月、米「VOGUE」や「TIME」、「Forbes」などの英語メディアで度々取り上げられた本があります。タイトルは「The Gentle Art of Swedish Death Cleaning: How to Free Yourself and Your Family from a Lifetime of Clutter」。テーマはスウェーデンの「Death Cleaning」つまり「死のお片付け」です。

「死」を考える

「死」なんて聞くと身構えてしまいます(筆者は最初「死ぬ気で片付けろ」レベルのスパルタ掃除を思い浮かべました)。でもその本当の意味は「自分の死後を想像して片付ける」ということ。自分で自分の遺品整理をする、というとわかりやすいかもしれません。

著者はマーガレット・マグネソンさん。スウェーデン各地やシンガポール、香港などに住んできたスウェーデン人アーティスト。年齢は明かされていませんが、「80歳から100歳の間」だそう。

いつ始めてもいい

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彼女は両親、旦那さん、義理のお母さん遺品整理をした経験や、自分の片付けや引っ越しの経験をもとに「死のお片付け」の本を書くべく筆をとりました。その英語版からアイデアを少し紹介します。

片付けと聞いて思い出すのは、日本国内外から注目を浴びた近藤麻理恵さんの「こんまりメソッド」。こんまりメソッドが「ときめくかどうか」を基準にしているのに対し、マグネソンさんの「死のお片付け」は自分にいま必要な物か、そして「自分が死んだあと、遺族や友人に残したいと思う物かどうか」を判断基準しています。

こう聞くと、別に今すぐ片付けなくてもいいんじゃないかという気もしてきます。でもマグネソンさんいわく、「死のお片付け」はいつ始めてもいいとのこと。実際ネットを見てみると、アラサー世代で試している人も多かったりします。

時間をかけることが大事

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方法論の前に、まず時間がかかると注意書きがあります。ここはこんまりメソッドの「一気に、短期に、完璧に片づける」とは正反対。ただし片付けるうちにだんだん慣れてくるので、後半には要不要の判断のスピードも上がってくるとのこと。

「死のお片付けと大掃除との違いはかける時間」だとマグネソンさんは言います。たとえば、お父さんがお母さんにプレゼントし、遺言によってマグネソンさんの手にわたったブレスレット。彼女は将来子どもたちの間でいざこざにならないよう、5人の子どもたちと時間をとって話しあい、これを売ることにしたのだそう。ブレスレットひとつのためにちゃんと時間をかけるのが、死のお片付けをするということなのです。

誰かと一緒にするのもいい

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家の中のものを本、服、家具・・・などカテゴリー分けして、手の付けやすいところから始めるのがマグネソンさん流。ご本人はいつもクローゼットから始めるそうです。何から始めてもいいけれど、手紙や写真は後回しに(手が止まって先に進めなくなるから)。

片付けはひとりでやってもいいし、誰かに手伝ってもらうのもあり。誰かが片付け中に欲しい物をみつけたら、そのままあげてしまいましょう。これから引っ越しする人に手伝ってもらうのも良策です。ひとりで片付けしていて手放すか迷ったら、迷ったものリストをつくって誰かにセカンドオピニオンを求めるのもよし。

物を減らせば生活が快適になるというわけではない、とマグネソンさんは書いています。問題は、手に余るほどの物をかかえることにあるのです。

おばあちゃんと話しているような本

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「死のお片付け」という名前のインパクト、スローでリラックスした片付けのアイデアと並ぶこの本の人気の秘密は、おそらくその”心地よさ”。

(少なくとも)80年の人生経験から得た片付けの知恵や、本のところどころで出てくる思い出話、ちょっとした技(たとえば、掃除をするときはバッグを持ち歩いて部屋を一周すること。あるべきところにない物は全部このバッグに入れて、最後に一気に元の場所に戻した方が楽。一緒に住んでいる人の持ちものは、本人に元の場所に戻させよ)、優しくときに諭すような文章、途中で登場する美味しいチーズケーキのレシピ・・・・・・。まるでおばあちゃんの話を聞くような安心感と心地よさがあります。日本語版は出ていませんが、英語版は電子書籍などでも入手可能。オススメの1冊です。

ゆっくりと物と向き合う、スウェーデン発「死のお片付け」。週末に少し時間をとって、クローゼットや本棚からはじめてみては?

文/タカハシアスカ


タカハシアスカ/ライター
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タカハシアスカ/ライター
ヨーロッパ在住ライター&時間を見つけてはふらっと旅に出るウィークエンドトラベラー。 長期の海外経験で培った感覚で、アラサー女性に刺さるものをピックアップ。 日々ユニークなものを求めて、ヨーロッパ各国をうろうろしています。
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