結婚はお金なのか、愛なのか?仕事や恋に悩む女性はこちらを必見!

『レディ・バード』のグレタ・ガーウィグ監督が、19世紀を代表する⼥性作家、ルイーザ・メイ・オルコットのベストセラー⼩説『若草物語』を四姉妹の次女・作家志望ジョーの視点からアレンジした映画『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』。

仕事や結婚の価値観の違いなど、物語に登場する女性たちの迷いや決断に、多くの現代女性が共感するはず。今回はこの作品について、映画ライターの渥美志保さんに解説いただきます。(編集部)

仕事に恋に悩める20代が、自分だけのハッピーエンドを見つけるまで

ニューヨークに暮らすジョーは、家庭教師として生活しながら、作家として食べていくことを目指す20代女性。作品を書いては出版社に持ち込み、時にはお金になることもあるけれど、その実態は幼い頃に思い描いた「歴史に名を残す作家」とは程遠く、思いが揺らぐ毎日です。

同じ下宿のフレデリックはそんなジョーにとって少し気になる存在ですが、ある日、自身の作品を「もっとちゃんとしたものを書くべき」と批判され激高。折も折、病に倒れた病弱な妹ベスを看病するために、ジョーは故郷に帰ることに・・・。

『レディバード』『フランシス・ハ』など、仕事、恋、人生に悩める女子を描いてきたグレタ・カーウィグの最新作『ストーリー・オブ・マイライフ わたしの若草物語』は、アメリカ古典文学『若草物語』『続 若草物語』をベースに、四人姉妹の生き方を描いた物語。

主人公は格式張った世界が苦手で男勝りの次女ジョーで、しとやかなコンサバ美女の長女メグ、誰からも愛されるピアノが得意な三女ベス、ジョーとは正反対に華やかな世界に憧れる四女エミリーが、その周囲を取り巻きます。

物語は20代になったジョーの動きを中心に描いてゆきます。舞台は100年以上前ですが、ジョーの、そして画家になる夢をそうそうに諦めて、貧乏な家族を支えるためにお坊ちゃまをターゲットに婚活中のエミリーの、抱える思いは、現代の20代とほとんど変わりません。

野心も実力もある女性が、なぜ経済的に自立できないのか。女性の才能を判断するのは、なぜ男性ばかりなのか。2人は同じ思いを抱えているのですが、ジョーは直情型で情熱的、エミリーはクールで現実的とその表現方法が違い、だからこそ悩むポイントも異なる。これがまた今の女子たちとほぼ同じ。

つまり、ジョーは「結局どんなに頑張っても、女には自立は無理。いっそ結婚したほうが幸せだったんじゃないか」。一方のエミリーは「結婚は“経済活動”だから、最優先は財力。でも本当に愛する人は他にいるんじゃないか?」

そういう悩みのなか2人は同じ人物のことを思い浮かべます。それが、少女時代のジョーの親友で彼女を熱愛してフラれ、7年後、その傷を負ったまま婚活中のエミリーの前に現れた幼馴染ローリーです。これを演じているのが、今をときめくティモシー・シャラメですから、この三角関係は見逃せません~!

貧しくとも誰かに守られ無邪気でいられた少女時代の『若草物語』パートは、それぞれが現実社会の厳しさを知るようになる『続 若草物語』パートと並行して描かれることで、よりキラキラと輝いて見えます。でも映画の醍醐味は『続 若草物語』パートで、4人姉妹がそれぞれに全く異なる人生を自分の意志で選び、受け入れてゆくところ。

ジョーが自分の家族をモデルに『若草物語』を書き上げ、世に出るときのたくましさと凛々しさ、そして最高のハッピーエンドは、観客全員が大満足できると思います。

『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』
【監督・脚本】グレタ・ガーウィグ
【出演】シアーシャ・ローナン、ティモシー・シャラメ、フローレンス・ピュー、エリザ・スカンレン、エマ・ワトソン、ローラ・ダーン、メリル・ストリープ  
全国公開中
https://www.storyofmylife.jp/

渥美志保
ナビゲーター
渥美志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。雑誌やWebのほか、企業広報誌などにも多く寄稿。J-WAVE「KEY COFFE METROPOLITAN CAFE」にてシネマスターとして映画を紹介。TOKYO FM「FMシネマ」では構成とキャスティングを担当。現在は映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がけている。
このナビゲーターの記事を見る