服やメイクでごまかせない、美人の条件「言葉のセンス」を身につけるには?

とっさに出るひと言には、その人の人となりがにじみ出るもの。 あなたという人の印象を大きく左右する可能性を秘めた 「言葉選び」のセンスについて、考えてみませんか? 今回は、「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」(ルミネ 2010年)など女性たちの心を掴む名コピーを生み出してきたコピーライターの尾形真理子さんにインタビュー。読めば読むほどに心に響くルミネ広告とともに、プロのまなざしが捉える豊かな世界を垣間見て。

その言葉が行き着く先を見つめて

ルミネ 2014年春「風はすべて追い風。わたしがどこを向くかだ。」

言葉選びのセンスというと、語彙(ごい)力や機転の利かせ方といった具体的な話に目が行きがちだが、それ以上に大切な要素がある。尾形さんいわく、それは「相手をおもんばかること」。

「言葉は本来、人と何かを共有するためのツールです。相手にどんな印象を与えるのか、そのことにどれだけ自分の考えが及んでいるかによって、選びは変わってくると思います」

特に日本語は、解釈の余地が広い言語だ。逆に言えば不完全で、危うい。だからこそ、相手がどう受け止めるかを、常に考えていなければいけないと尾形
さんは言う。

「それなのに私たちは、実はかなりのことを言語化できないんです。用いる言葉の意味を、伝えたいニュアンスに完全に一致させることは、すごく難しい」

難しいからこそ、配慮をもって発せられた言葉は、相手の耳にすっと届く。耳に心地よく響いてくる言葉、それが尾形さんにとっての「センスのいい言葉」だ。

「硬い」と「柔らかい」を使いわけて

ルミネ 2017年春「生まれた感情の数だけ、女は表情が生まれる。」

伝えたいニュアンスを相手に正しく伝えるには、定型文に頼ってはいられない。定型文=硬い言葉に対して、自らの感性を反映したオリジナルな文=柔らかい言葉を尾形さんは大切にしたいという。

「硬い言葉よりも、柔らかい言葉のほうが、伝わる情報量が多いと思います。言葉の解像度が上がるようなイメージですね。自分の心をさらけ出すことで、人の心にも踏み込んで、密なコミュニケーションが取れるのです」

例えば入院中の人を見舞うとき。

「『おだいじに』『早く良くなってね』・・・良くなりたいと一番思っているであろう本人に、この定型文は何だか硬い気がします。『たまには体を休めるチャンスだと思って、ゆっくりしたら』のほうが柔らかい。殺伐とした病院の中だからこそ、できるかぎりオリジナルで親密な言葉を選びたいものです」

一方で、定型文=硬い言葉のほうが必要とされる場合もある。

「むしろ定型のほうが優しく感じられるときだってあると思います。例えばお葬式での『お悔やみ申し上げます』。亡くなった方や遺族へ敬意を示すという意味でも、悲しんでいる遺族にむやみに自分の感想を押し付けないという意味でも、参列者は定型文を使うべきだと思います」

言葉は、一度相手に届いたら取り消すことができない。発する人の人となりや、思考回路など、すべてを暴かれてしまう怖さがある。

時と場合に応じて、硬いと柔らかいを自由にいったりきたりできることも、大切な言葉選びのセンスと言えますね」

Profile

おがたまりこ●1978年生まれ、東京都出身。2001年博報堂入社。コピーライターとして、ルミネや資生堂など多くの企業の広告コピーを手がける。朝日広告賞グランプリなど、受賞歴も多数。2018年に独立し、個人事務所を設立。

『試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。』(尾形真理子 著/幻冬舎文庫)

尾形さんが担当したルミネの広告コピーから生まれた、5つの短編ラブストーリーを収録。尾形さんならではの、意味深く、ハッとさせられる言葉が満載。

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