大切なことを考えるきっかけに~多部未華子の読書案内

小説から漫画までジャンルを問わず、本好きとして知られる女優の多部未華子さん。アラサーの“多部ちゃん”が、同世代女子からの本選びの相談に応えて、オススメ本を紹介します。

Q アラサー女子からのリクエスト
「LGBTについて、理解を深めたいです。
あまり難しすぎず、適切な本があれば
読みたいと思っています」

最近、同じ職場にいる女性がレズビアンであることを知りました。驚きなどはなかったのですが、彼女がいる前で恋愛のこととか結婚の話題を出しづらくなってしまった自分がいます。あまりナーバスになるのも逆に変だとは思うのですが、LGBTについて自分なりに考えてみたい。おすすめ本があれば知りたいです。

共感したり想像してみることで
少しずつ寄り添っていく

LGBTへの理解を深めるためには、まず友達になることが近道のように思いますが、LGBTの大親友がいる私にとっても、そういったことに関しては何と言っていいのか難しいところがたくさんあります。

私はその友人とLGBTについて話すことはほとんどない(あそこのお店のメンズがかっこいい、あのメンズはタイプではないなど恋愛の話はする〈笑〉ような気がします。やはり過去には、いじめられたり、偏見の目で見られたり、冷たく思いやりのない言葉をかけられたことも経験しているようなので、まず私からそのような話をすることはありません。

普段はバカみたいな話で2人でけらけら笑っているけれど、実際には自分がLGBTであるということで、いろいろな悲しい思いをしてきたんだろうなと感じています。

台湾人作家の李琴峰(りことみ)さんの作品『独り舞』は、レズビアンとして生きている主人公・迎梅(イン・メー)の苦悩や葛藤が描かれています。

レイプや大きな失恋など、主人公の生き様がとてもドラマチックに描かれて
おり、たくさんの傷を抱え、死に対して興味や憧れを抱きながらも、レズビアンとして堂々と生きていく彼女の姿は、危うくもあり、強くもあり、気持ちの揺れがとても繊細に表現されていました。ただ、それがはたしてLGBTとしての苦悩なのかは、正直私には分かりませんでした。

最近は、「LGBT」という言葉自体メディアを通して多く耳にするようになりましたし、LGBTの人も、自分はそうなんだと周りに対して言いやすい環境に少しずつなっているのではないかなと感じます。

LGBTのことを学んだり、そういった人の気持ちに寄り添うことはできるかもしれないけれど、まったく同じ気持ちになるということはなかなか難しいことかもしれません。それは、LGBTのことに限らず、どんなことにも言えることだと思います。

でも、LGBTの人が経験したことを聞いたり、感じとってみようとしたり、
共感したり、想像することで、ひとりひとりがLGBTに関心を持つことができて、正しい知識を得られたら素敵ではないでしょうか。この本もそういった
きっかけになったらと思います。

文/多部未華子

今回のオススメ本はこちら!

『独り舞』 李 琴峰 著  
¥1,600(税別) 講談社

日中翻訳者としても活動する台湾人作家のデビュー作。性的マイノリティである主人公女性が、自身の葛藤や孤独を抱え、そして見つめながら、言葉の壁や国境を超えて生き抜く様を、繊細な文章で綴った小説。


多部未華子
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多部未華子
1989年東京都生まれ。女優。2005年に映画『HINOKIO』と『青空のゆくえ』で第48回ブルーリボン賞新人賞を受賞するなど、10代から存在感のある演技で幅広く活躍。その後、NHK連続テレビ小説「つばさ」主演をはじめ、さまざまな作品に主演。まもなく主演ドラマ「私の家政夫ナギサさん」(TBS)が放送予定。
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