フィギアスケートでメドベージェワ選手が楽曲に選んだ『アンナ・カレーニナ』とは?

平昌五輪の女子フィギュアスケートはロシアから個人参加をした、アリーナ・ザギトワ選手(15)が金メダル。エフゲニア・メドベージェワ選手(18)が銀メダルを獲得しました。 金メダルこそザギトワ選手が獲得しましたが、フリーのプログラムだけ見ればメドベージェワ選手が勝っており、最後は涙を流し非常に印象的でした。
 今回はメドベージェワ選手がフリープログラムの楽曲に選んだ映画『アンナ・カレーニナ』の魅力を紹介していきたいと思います。 

『アンナ・カレーニナ』とは?

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映画『アンナ・カレーニナ』の原作はロシアの文豪トルストイの長編小説です。1870年代の物語でありながらも不倫を扱い、現代に至るまで非常に高い評価を受けています。良くも悪くも今の日本のワイドショー的にタイムリーな題材でもあります。高い評価を受けているため、1927年から7度もドラマ・映画化がされています。(筆者調べにつきドラマを中心に漏れがあるかもしれません)。また、バレエや演劇でも何度も演じられています。

ちなみに、今回メドベージェワ選手が使用した楽曲は2012年に公開されたジョー・ライト監督×キーラ・ナイトレイ主演版の『アンナ・カレーニナ』のテーマ曲です。

『アンナ・カレーニナ』の内容は?

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『アンナ・カレーニナ』は19世紀末のロシアが舞台で、政府高官の妻にして社交界の花として人々から注目されるアンナ・カレーニナが主人公。

しかし、アンナ・カレーニナは華やかな生活の裏で夫との愛なき結婚に不満を抱いていました。ある日モスクワへと降り立った彼女は青年将校ヴロンスキーと出会い、結婚をしていながらも恋に落ちてしまいます。

そこから不倫関係が始まり、現代に比べて離婚が難しい時代でもあったため破滅への道を歩み始めることになるのです。

“悲しい物語”と“美しすぎる映像”

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本作は公開されてから間もなく6年。さまざまなレビューが飛び交っており、不倫を描く物語の特性上大絶賛という形にはなっていません。

今回ご紹介している2012年版の『アンナ・カレーニナ』のレビューを見る中で非常に興味深かったのが「美しすぎる」という“批判意見”。

そう、この映画はとにかく映像が美しすぎるのです。何度も映画化されている中でこの作品の演出は今までと完全に異なるものとなっています。
映画の世界が、舞台で展開されているかのような演出がなされ、場面転換が行われるかのように映画内でセットが入れ替わるような演出がされています。

オープニングでアンナは舞台の裏から出てきてステージを降ります。すると客席に椅子は無くアンナの背後に壁が降りそこが夫カレーニンの執務室へ早変わり・・・。

言葉では説明が難しのですが、映画の中で舞台が展開されている演出と思っていただければと思います。ちなみにこのような演出がなされたのには、以下のような理由があったようです。

----引用-----
"19世紀のロシアの貴族社会をどのように描くべきか試行錯誤していたジョー・ライト監督は「貴族は人生を舞台の上で演じているかのようだった」という歴史家の文章に出会った。そこでオペラ劇場のセットが建てられ、登場人物たちが時にリアルなセットで、時に観客の視線が注がれている舞台上でドラマを展開する大胆な演出プランを導入された。"http://cinema.pia.co.jp/news/161242/50366/

この流れがとても可憐で、“演技”というものが意識的に描かれているとわかると、メドベージェワ選手のスケートとも非常にマッチしているなと気付かされます。この特異な演出を美しく見せるセットやカメラワーク、そして衣装、ビジュアル的にも美しい俳優陣。とにかくこの映画にはあらゆる美が結集しているのです。

この美しさに、もし素敵な恋愛物語が展開したら、うっとりすること間違い無し。しかし、そんな理想を願う私たちをあざ笑うかのように物語は最悪の悲劇へと一歩、また一歩と歩みを進めていくのです。

結末はぜひ、みなさん自身の目でご覧ください。

意外な形で救いが描かれる

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アンナと不倫相手との恋は、いうならば周囲を無視した暴走の恋でありました。結末はそれがバレてバッシング、では済まずに最悪と呼べるものが用意をされています。

その結末は不倫はよくないということが明確に示されているともいえます。そうなると「そんな当たり前の風潮の物語に何の救いがあるのか」と疑問に思うかもしれませんが、救いも描かれます。

ふたりの恋は暴走しましたが、その周囲で描かれる恋や、男女問わない“守る”という意味の愛が「世の中は捨てたものじゃない」と思わせれくれるのです。
また、ある恋の物語は「これこそが現代においても理想かもしれない」と思うほど美しいものであります。不倫に突き進む恋や愛もあれば、周囲を幸せにすらする恋や愛もある。
恋や愛のさまざまな形を本作を通して観ることで、メドベージェワ選手の演技をあらためて堪能するきっかけと、みなさん自身の未来の糧になったらうれしいです。

文/柳下修平

柳下修平/映画メディア編集長
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柳下修平/映画メディア編集長
映画メディア"シネマズby松竹"編集長、映画ブログ"Cinema A La Carte"運営。映画の楽しさ、面白さを発信することを主眼としてポジティブな言葉で新旧映画の情報を発信。1986年生まれ B型。
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