秋の夜長に楽しみたい、アートをテーマにした映画おすすめ3選

こんばんは、アートテラーのとに~です。
先日、都内の小学校で「美術の楽しみ方」というテーマで出張授業をしてきました。後日、生徒たちからその感想が届いたのですが…ある男の子から「なかなか面白かったです」というシンプルすぎる感想が。次回はもっと面白いと思ってもらえるよう頑張ります(笑)。 

さて、本日ご紹介するのはHALさん(団体職員)からの質問。 「私は、美術よりも映画が好きです。美術をテーマにしたもので、おすすめの映画はありますか?」
フェルメールの傑作のモデルとなった女性をスカーレット・ヨハンソンが演じた『真珠の耳飾りの少女』や、オダギリジョーがおかっぱ頭に丸眼鏡で藤田嗣治役を熱演した『FOUJITA』など、美術をテーマにした映画は意外と多くあります。
今回はそのなかから、アートテラー目線で厳選したおすすめの映画を3本ご紹介します。 

気が遠くなるような工程を経て完成した1本

名優ティム・ロスが主人公を務めた『ゴッホ』(1990年)、御年64歳のウィレム・デフォーが30代のゴッホを演じて話題となった『永遠の門 ゴッホの見た未来』(2019年11月公開)など、ゴッホの生涯を取り上げた映画は数多くありますが、僕のイチ推しは『ゴッホ 最期の手紙』(2017年)。

Licensed by Getty Images

37歳という若さでこの世を去ったゴッホ。果たして、本当に自殺だったのだろうか?――ゴッホの絵のモデルでお馴染みの郵便配達員ルーラン夫妻の息子で、彼自身もまたゴッホの肖像画のモデルとなっているアルマンが、関係者たちに証言を聞いて回るうちに、その意外な真相に辿り着くというお話。
こちらはアニメ映画なのですが、普通のアニメ映画とは一線を画しています。

まず、絵の登場人物たちになりきった俳優たちが、ゴッホの絵画世界をイメージしたセットなどでその役を演じ、実写映画として撮影→その映像が特別なシステムでキャンバスに投影され、ゴッホのタッチを完璧に習得した125人の画家によって油絵にされるという手法で制作されています。その数、実に62450枚!
最終的に、その62450枚の油絵を高解像度写真で撮影し並べることで、これまでにないアニメーション映画を完成させたのです。まさに1シーン1シーンがアート。もちろんストーリーも面白いです。

話題のアーティストを取り上げた映画

現在、六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催され話題沸騰中の《バスキア展》。その主人公であるバスキアの生涯を映画化したのが『バスキア』(1996年)です。監督は、ジュリアン・シュナーベル。バスキアの友人にして、バスキアと同時代に画家として活躍した人物です。

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長いこと売れない時期が続くバスキア。しかしある日、その才能が画商やあのアンディー・ウォーホルの目に留まり、そこから一気にスターダムを駆け上がることに!
しかし、そのせいで天狗になり、友人や恋人を失い、さらには、ドラッグにも依存するようになって・・・。まさに波乱万丈な人生を描いています。

ちなみに、キャストもかなり豪華。デニス・ホッパーにゲイリー・オールドマンにベニチオ・デル・トロ、しかもアンディー・ウォーホル役を務めるのは、何とあのデヴィッド・ボウイ!
《バスキア展》に行く予定の方は、ぜひ予習としてこの映画を観ておくのがおすすめです。

有名美術館の改修工事にまつわるドタバタ劇

レンブラントやフェルメールなどの傑作を所蔵するアムステルダム国立美術館を舞台にしたドキュメンタリー映画『ようこそ、アムステルダム国立美術館へ』(2008年)。

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2004年、アムステルダム国立美術館で大規模な改築工事が始まることに。「みんなに愛される美術館」を目指して館長や学芸員、建築家たちは奮闘します。
しかし、美術館を貫く通路をめぐり、地元民が猛反発! それによって、計画は二転三転し、工事はついに中断する事態に・・・。

事実は小説よりも奇なり。とてもドキュメンタリーとは思えないほどのストーリー展開です。
登場人物たちも、感情をストレートに爆発させる館長やちょっとサイコなくらいに美術館愛が強い警備員、ナルシストなインテリ系イケメン学芸員など・・・かなりキャラが濃い!
彼らにとっては悲劇でしかないですが、どうしても可笑しみを覚えてしまう作品。これを観れば、きっとアムステルダム国立美術館のことが好きになるはず。

皆さまからの質問大募集!

「デートにピッタリの美術館は?」「カフェがオススメの美術館って?」という具体的な質問から、「現代アートって、何が面白いの?」「何であんなに美術品って高いの?」「ピカソってすごいの?」という誰にも聞けなかった質問まで。GINGERwebの問い合わせフォームから何でもお寄せくださいませ。わかりやすく、お答えします。


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美術の魅力をわかりやすく、面白く伝える、世界でただひとりの”アートテラー”。よしもと芸人時代に培った話力と笑いのセンスで、アートを語ります。日本を代表する数々の美術館で、公式トークガイドを担当。著書『東京のレトロ美術館』(株式会社エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)が好評発売中。
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