菅田将暉、ヤン・イクチュン主演『あゝ、荒野』の見どころは?

Spark GINGER読者のみなさま、こんにちは! 映画ライターの古川ケイです。今週、GINGER読者のみなさまにご紹介したい映画は、前編が現在公開中、後編が10/21(土)から公開となる、骨太なボクシング青春ドラマ『あゝ、荒野』です。 1960年代の劇作家・寺山修司が遺した唯一の長編小説「あゝ荒野」を、『二重生活』の岸喜幸が映画化した本作。菅田将暉、ヤン・イクチュンのふたりを主演に迎え、舞台を2021年、東京オリンピック後の近未来に移し、若者たちの孤独と葛藤を描き切ります。

『あゝ、荒野:前編』ストーリー

2021年。
3年ぶりに少年院から出てきたばかりの沢村新次(菅田将暉)は新宿のラーメン屋でラーメンをすすっていた。

幼いころ、母に捨てられ施設で育った新次は、同じく施設で育った親友の劉輝とともに、振り込み詐欺で、老人たちから金をだまし取っていたが、仲間の裕二に裏切られ、少年院に入ってしまったのだった。

裕二に復讐するべく、彼の元へと殴り込んだ新次だったが、プロボクサーとしてデビューしたばかりの裕二に打ち負かされてしまう。

たまたまその場に居合わせた、吃音障害と赤面対人恐怖症を併せ持つ二木建二(ヤン・イクチュン)は、新次に助けの手を差し出す。

韓国人の母親を幼いころに亡くし、元自衛艦の父親・建夫からの暴力に耐えながら暮らす建二は、床屋で働きながらも、他者とほとんど関わらずに生きてきたのだった。

裕二のボクシングジム前で、自身のジムの勧誘活動を行っていた元ボクサーの堀口(ユースケ・サンタマリア)は、そんなふたりをボクサーとしてスカウトする。

ケガにより左目の視力を失い、引退して18年経つ堀口(通称:片目)のジムで寝泊りしながら、プロボクサーを目指すことになった新次と建二のふたり。彼らの間には友情が芽生え、固い絆で結ばれていく。

そしていよいよ迎えたプロデビュー戦。リングネームも決まり、燃える新次をよそに、建二は対戦相手を殴ることへのためらいを捨てきれずにいて…。

R15指定! 菅田将暉が演じる衝撃の濡れ場にも注目

激しい暴力シーンや、性描写を含み、R15指定となっている本作。
ボクシングの試合のシーンでは、激しい打ち合いや、汗や筋肉の動きなどが、スクリーンから溢れ出るほどの熱量と迫力を持って描かれており、目を離すことができません!

そしてもうひとつ目が離せないのが、菅田将暉演じる主人公・新次の激しい濡れ場です。ヒロイン・芳子との初めてのシーンは「新次の野生や暴力性を出すために、菅田くんとアイディアを出し合って」と監督が語る通り、直視できないくらいの生々しさで溢れ、暴力的なほどに激しいものになっています。

なんとこのシーン、「7回も続けてした」(!)という設定になっており、かなりの長尺で描かれます。あまりの激しさに、思わず目を覆いたくなってしまうほどの衝撃度です。

これ以外にも、ふたりの濡れ場はたびたび登場し、本作が肉体のリアルを追求した作品であることが伝わってくることでしょう。赤裸々で、激しくも切ないふたりの恋模様は、ぜひスクリーンでご確認ください!

新宿でもがく、男ふたりの熱い友情から目が離せない!

本作の魅力をさらに深めているのは、建二を演じたヤン・イクチュンにあることは間違いありません。

2009年に、自らが監督・主演・製作・脚本・編集をこなした『息もできない』で長編映画監督デビューを果たしたヤン・イクチュン。

吃音障害と赤面対人恐怖症という難しい役どころながら、建二の人としての優しさや、暴力的な父親へのやり場のない思い、初めてできた友だちでもある新次への複雑な感情を見事に演じきっています。

原作が書かれた1960年代も、本作の舞台となった少し先の未来である2021年も、若者たちの青春の孤独や心の葛藤は、変わらずそこにあります。むしろインターネットやSNSの登場により、誰もが「浅く広く」繋がれるようになってしまった今、その色はより濃くなっているのかもしれません。

本作は、動画配信サービスU-NEXTにて9月29日より、全6回に分けて順次配信されているほか、2017年11月1日(水)にはDVD&Blu-rayでの発売が決定しています。

ですが、お近くの劇場で上映のある方は、ぜひ新次と建二の魂の叫びをスクリーンでご覧いただくことをオススメします!

前篇が公開中の『あゝ、荒野』後篇は、10月21日(土)より新宿ピカデリーほかにて公開です。

『あゝ、荒野』公開情報

『あゝ、荒野』R15+
前編:公開中、後編10月21日(土)より新宿ピカデリーほかにて公開
監督:岸喜幸『二重生活』 
原作:寺山修司「あゝ、荒野」(角川文庫)
出演: 菅田将暉『帝一の國』、ヤン・イクチュン『息もできない』
制作・配給:スターサンズ
上映時間:前篇:157分、後篇:147分
公式サイト: kouya-film.jp
©2017『あゝ、荒野』フィルムパートナーズ


古川ケイ/映画ライター
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古川ケイ/映画ライター
新作オススメ映画情報サイト「木曜日のシネマ(http://thursday.jp)」運営。新卒で映画配給会社に入社し、映画情報誌の編集・ライター業務に従事したのち、洋・邦作品の宣伝を手がける。2016年より、映画ライターとしてオススメの作品をご紹介しています!
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