「パケ買い本」のすすめ。――見た目だけで読むブックレビュー vol.1


【Fromエディターズ】定期的に当番が回ってくるこのFromエディターズ。何でも好きなことを書いていいといわれたので、私はこの場を利用して、ずっとやってみたかったある試みを実行してみたいと思っています。それは、「本の中身の話をせずに、外側から眺めてわかることだけで本を紹介する」というもの。うまくいくかどうかはわかりませんが(笑)、よかったらお付き合いください。

皆さんは本を買うとき、どうやって選んでいますか。
人から勧められて? Amazonのレビューを読んで? まあ何だってよいのですが、結局本って、読んでみるまでわからないものですよね。評判を聞いて期待して読んだらさっぱりだったり、何となく手にとってみただけなのにものすごくハマったり。であれば、あれこれ下調べをする時間がムダというか、もはや直感でピンときたものをとりあえず読んでみるのが一番よいのではと思ったりするわけです。

そこで最近私が実践しているのが、本の「パケ買い」。本屋さんへ行き、書棚をぼーっと眺め、自分のなかの何かが「!」と反応する本が見つかったら、何も考えずにそれを買うのです。これはというものが見つからなければ、何も買わずに帰ります。ヒマか、というツッコミはやめてくださいね。どちらかというと忙しすぎる日々からの逃避です。

話が逸れました。そうして買った本は、何の先入観も持たず、ただ見た目だけを頼りに選んだもの、つまり「パケ買い本」(もちろんその”見た目”には、装丁デザインだけでなく、タイトルや著者名、帯に書かれた文言も含まれます)。何となくですが、パケ買いした本って、不思議と今の自分にしっくりくる場合が多い気がするんですよね。もちろん、カバーはその本の中身を表現できるように意図して作られていると思うので、当然といえば当然かもしれませんが。

前置きが長くなりましたが、そうやって「パケ買い」した本を、今日は1冊ご紹介します。

『すみなれたからだで』(窪美澄著/河出書房新社)

パケ買いというにはずいぶんシブいな、と思った人。○デュレや○ルスチュアートのコスメを想像していたなら、頭を切りかえてくださいね。

まずこのタイトル。すみなれたからだ、って意味はまだよくわからないけれど、なんて研ぎ澄まされた響きなんでしょう。退廃とか透明感とか、切なさとか、優しさとか、何だかいろいろな含みが感じられる言い回し。それに、ひらがな。私、ひらがながとても好きなんです。でも、文章を書くときに、ひらがなの使い方ってとても難しくて、意識的に使いすぎるとぶりっ子な匂いがしてくるんですよね(だから最近新書コーナーで売れていた某学者の文章が大嫌い、というのは内緒)。それが、このタイトルはすべてひらがななのに、まったく嫌味がない。むしろ美しい。すみなれたからだで。何回でも声に出してつぶやきたくなってしまいます。

そしてこれです。

ああ、よい・・・・・


失礼、思わずまたうっとりしてしまいました。
何にって? 写真をじっくり見てください。わかるでしょう。このフォント、そしてひと文字ひと文字の間の絶妙な空き具合。「す み な れ た か ら だ で」。ああ、何度見ても美しい。

平積みしてあったわけでもなく、ただずらりと並んだ背表紙のなかでこの1冊だけに、目が吸い寄せられてしまいました。この背表紙だけで、もはや泣けてくるのは私だけ? いえ、例えそうであっても、よいのです。直感で選ぶ「パケ買い本」は、ほかの誰かに理解されなくとも、選んだその人の”何か”に引っかかったということにこそ、意味があるのですから。

タイトルの話だけで、ずいぶん夢中になってしまいました。
手に取ってみるとさらに、いろいろなことがわかります。窪美澄さん=大人の恋愛や女性の性、という予備知識がある人は、そのイメージとこの素朴でシブい木彫りの人形?にギャップを感じたり。窪さんを知らなくても、美澄、という気高い漢字の並びと、「無様に。」というフレーズの間に、ただならぬものを感じたり。

全身全霊で表紙を味わったら、本を裏返してみます。

はい、お買い上げ。もうここまできたら、早く表紙を開きたくてたまりません。会計を済ませた私は、いそいそと家に帰ったのでした。


ここまで読んでいただけたら、すでにお気づきの方もいらっしゃるかもしれませんが、この記事は決して、この本を読めとおススメするものではありません。なぜなら、私の直感に従った「パケ買い」は、私だけにとって意味があることだから。ただこの紹介を読んでみて、何だか気になった、引っかかったという方は、ぜひ読んでみてください。きっと期待を裏切りません。そして、気が向いたときにはぜひ、自分なりの「パケ買い」も試していただけたらと思います。

長々とお付き合いいただきありがとうございました。(GINGERweb編集部カルチャー班 KONDO)

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