アナウンサーが教える!初対面の会話術

職場でも家庭でも、自分の居場所を心地よくするためのキーポイントとなる言葉選び。“言葉”を仕事にするアナウンサーの八木早希さんに、大人の女性なら身につけておきたい言葉の選び方や、コミュニケーションのコツをナビゲートしていただく連載「言葉は女の武器になる!」。今回は、よく寄せられるという質問にお答えしていただきます。

よくあるコミュニケーションのお悩みとは?

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アナウンサーの仕事をしていて、よくされる質問があります。

・初対面の人と何を話したらよいかわかりません。どうされていますか?
・目上の人と話す時に緊張します。どうしたら良いですか?
・気難しい人や苦手な人と話す時は?

初対面や目上の人とどう話したら良いかわからない。当然です!

この人は一体どういう人?
どこまでの話がOK?どこからNG?
変な事を言っちゃったらどうしよう、
次に何を聞こう?

頭の中でグルグル考えている内に、今相手が話している話を見失い、益々言葉が出て来なくなります。そして、会話が途絶えてできる「沈黙」が怖くて、
行き当たりばったりの質問をしてしまう・・・。ますます「会話」が苦手になる・・・。

よくあることです。

今回は「初対面」編。一番上の質問に答えましょう!

初対面の人との会話、どこから始めましょう?

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どんな話題を?わからないのは当然です。「相手」がわからないのですから。

「相手」がわかってくるまで、会話をドライブにたとえるなら、とりあえずは「助手席」に乗る感覚を持つのはいかがでしょうか。

ハンドルを握って、自ら会話の行き先を決めなくても大丈夫です。とりあえずは、「運転はお任せしますね。私は同じ方向を見ながらついて行きますね」と、相手の話すことに同調できる所、共感する所を見つけながら、「同じ方向」に会話を進めて行きます。

「そうですか!」「すごいですね」「いいですね」「わかります」

前向きな相づちは、居心地の良い会話を作ります。相手も積極的に話さないタイプなら、共に見ている風景を話題にしましょう。

「最高のお出かけ日和ですね」「あの看板気になりますね」「道が空いていますね」など。
その時間共有しているもの、「このお料理美味しそうですね」「お洋服の色がきれいですね」「この場所のここが居心地がよい」など。

他愛もない天気の話から、好きな季節、お花見や紅葉狩りに好きな場所、最近の異常気象、天災の時にどう過ごしたかなど、いろいろな話への糸口が見つけられます。お料理や身に付けているものからは、その人の趣向や趣味の話に繋(つな)げられます。

どんな話をするか、にあまり神経を尖らせず、ただ寄り添う安心感、居心地の良さを持ってもらおうとするだけで充分ではないでしょうか。

自分の居心地も大事に

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もちろん、ヨイショしたり、無理に相手に合わせてばかりだと自分にとって居心地の悪い場になってしまいますので、無理は禁物です。相手と同じくらい自分の居心地も大事にして下さい。自分をごまかすと、相手もあなたを掴む糸口を見失っていきますので、ナチュラルに、自分のペースで、気持ち笑顔で、前向きにいて下さい。

同調できない時には、「そういう見方もあるのですね」「今まで考えたことのない視点です」「新しい考えですね」「斬新ですね」「オモシロいですね」「最先端ですね」真っ向から否定しない言い方はいろいろです。

自分だけを大事にするのも禁物です。
「はい、助手席に乗りました。私をどうエスコートしてくれるの?」と相手に丸投げしたり、話に興味が無いからといって、いかにも不機嫌になったり、スマートフォンの向こうの世界に逃げては失礼です。限られた時間、その場、目の前の人に礼儀を尽くすのが大人です。

相手が運転に疲れた=会話のリードに疲れたと感じる時には、会話をやめて、ただ同じ風景を見ているだけでも良いです。ただ同じ味を味わうだけでも良いです。会話はし続けなければいけないものではありません。

相手が道に迷った時には、隣で地図を読んであげる、ナビゲートしてあげる、もしくは、運転席を代わる。先輩後輩、上司部下、男女に関係なく、相手と自分との居心地の良い役割、距離感が出てくると思いますので、自然にできる関係に身をゆだねてみましょう。

「私たち道に迷いましたね」「ですね」だけでも素敵な会話です。

前向きな会話が、次回へ繋がる

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初めましての場面で、相手も自分と同じように緊張しているはずです。その場を良いものにするかは「共同作業」ですので、前向きに礼儀を尽くしましょう。
「なぜあの時、あんな返事しかできなかったのだろう」
「もっとこうしておけばよかった」
何年アナウンサーをやっていても後悔と反省が尽きないものです。

しかし、「礼儀は尽くせたか」という自問に「尽くした!」と答えられればOKとしています。そして、礼儀が伴った会話には、必ず「二回目」があります。

その人それぞれの歩んできた道、考え方、個性がありますので、どう答えるか、どう話すか、マニュアルはありません。その人なりに「礼儀を尽くす」ことで、すべての個性が、すべての会話が正解になります!

自信を持って、新しい人との出会いを楽しんで下さい。


次回「目上の人編」、次々回「苦手な人編」もお楽しみに!

文/八木早希
撮影(TOP写真)/中西真基
ヘア&メイク(TOP写真)/吉田彩華(VAN COUNCIL EBISU)


八木早希/フリーアナウンサー
ナビゲーター
八木早希/フリーアナウンサー
1978年アメリカ・ロサンゼルス生まれ。2001年毎日放送入社しアナウンサーに。2011年フリーへ転身し、日本テレビ「NEWS ZERO」キャスターを3年間務めた。大勢の政治家、著名人、ハリウッド俳優らへインタビューなど国内外の取材経験も多数。現在は、NHK「ぐるっと関西おひるまえ」の司会を務めるほか、コミュニケーション等に関する講演活動も行っている。
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