幸せへの近道。禅を学び、自分自身と向き合ってみよう。

今を生きる—幸せになるためのキーワードなのはわかってはいるけれど。それでも、過去の出来事を振り返ってしまい、後悔してしまう時がある。どうすればもっと幸せになれるのかと、未来を不安に思ってしまうこともある。 頭では理解しているつもりでも、心をコントロールできない自分を変えてみたくなりませんか? 禅を知れば、人生はもっと豊かになる。「所作」を整えることによって美しい人へと成長できる方法を、世界で活躍する禅僧・枡野俊明氏が伝授してくれます。

過去や未来に囚われる

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「あのときこうしていたら、もっと違った結果になっていたはずなのに!」「五年後の自分はどうなっているんだろう? 恋人もできないままだったらどうしよう」。ときどき、そんな思いが渦巻くことはありませんか? 過去を悔やみ、将来に不安を抱く。悔恨や不安の中身はともかく、誰にでも経験があることだと思います。
しかし、過ぎ去ってしまったことは、変わりようのない事実です。今になっていくら悔やもうと、取り返しがつかない。やり直すことはできないのです。また、将来どうなるかは、そのときになってみないと、わかりませんね。今、気を揉んでもまったく意味はないのです。

今を生きるという意味とは

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禅に「即今(そつこん)、当処(とうしよ)、自己(じこ)」という言葉があります。即今はたった今、当処は自分がいるその場所、自己は自分自身、ということです。少し解説すれば、「今やらなければ、いつやるときがくる、今しかないではないか(即今)」「ここでやらなければ、いったいどこでやる。ここしかないではないか(当処)」「自分がやらなければ、誰がやる。自分しかいないではないか(自己)」ということです。
今、自分が置かれている場所、状況のなかで、やるべきことを、自分自身で一所懸命にやる。それが生きていることだ、とこの禅語はいっているのです。

幸せになるために

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生きている一瞬、一瞬が大切です。過去を振り返ったり、将来を想像したりしている暇はありません。やるべきこと、できることは、今、あなたがいるその瞬間、その場所にしかないのです。
「過去だ」「将来だ」と“よそ見”をしている間にも、人生の時間は確実に流れていってしまいます。今を見つめることを忘れたら、時は空白のまま過ぎていく──といってもいいでしょう。もったいなくはありませんか?
「放下着(ほうげじやく)」という禅語は、なにもかも捨ててしまえ、ということです。まさにそれ。過去も将来も放っておけばいいのです。

枡野俊明
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枡野俊明
曹洞宗徳雄山建功寺住職、庭園デザイナー、多摩美術大学環境デザイン学科教授、ブリティッシュ・コロンビア大学特別教授。玉川大学農学部卒業後、大本山總持寺で修行。禅の庭の創作活動によって、国内外から高い評価を得る。芸術選奨文部大臣新人賞を庭園デザイナーとして初受賞。ドイツ連邦共和国功労勲章功労十字小綬章を受章。2006年に「ニューズウィーク」誌日本版にて、「世界が尊敬する日本人100人」に選出される。庭園デザイナーとしての主な作品に、カナダ大使館、セルリアンタワー東急ホテル日本庭園など。著書に、『禅、シンプル生活のすすめ』『禅-シンプル発想術-』『人間関係がシンプルになる禅のすすめ』『禅の庭』ほか多数。常に、老若男女に向かって、日本の美しさについて説いている。
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