人間関係をスムーズにする!「上から目線」ではない人との接し方とは

ブリュノが運営する「正義の声」は、他が拒絶する重度の患者も受け入れる自閉症ケア施設として医療機関から絶大な信頼を得ているが、無認可な上に経営も常にカツカツ。「怪しげな施設」と疑う政府から監査が入るなか、支援する自閉症の少年が行方不明に・・・!


パリに実在する施設の日常を、大ヒット映画『最強のふたり』の監督が笑いとともに描く、この作品の見どころを、今回、映画ライター渥美志保さんにたっぷりと語っていただきました!(編集部)

自閉症のジョセフとブリュノの愛ある関係

世界中で大ヒットし、昨年にはハリウッドリメイクの作品も公開された『最強のふたり』。車椅子生活の億万長者と黒人介護士の友情を描いた、ここ10年で最も楽しいフランス映画の1本だったのですが、本作はその2人組監督による最新作。

『スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男達の実話~』という「長っ!」って感じタイトルなんですが、まあ話もそのまんま。自閉症ケア施設「正義の声」を運営している男ブリュノの日常を描いてゆきます。

主人公に次々といろんなピンチが降りかかり、どーするの? どーなるの?という物語って必ず面白いものですが、ブリュノの日常はまさにそんな感じ。

「とにかく自閉症の人たちのために」とどんな無理難題も「なんとかする」と応えてしまうブリュノは、さまざまな理由で他の組織から受け入れ拒否された患者も受けてしまう人。でもあらゆる面で「規則どおり」とはいかない彼らの組織は認可がもらえず、お金も人手も常に足りません。

そんなわけで、ブリュノは資金繰りや医療機関との折衝はもちろん、個々の自閉症の人の日々の世話まで、人任せにできることはなにひとつなく、その日常はいつも「一難去ってまた一難」。
フランス男なんで恋愛にだってめっちゃ興味あるわけですが、すっかりご無沙汰になっちゃうのは、デートしてると必ず問題発生で呼び出されるから。取り残された女子たちの「てか、あんたデートする気ないんでしょ」っていう表情が、いちいち笑えます。

そうなんです。この映画、「介助」とか「社会福祉」みたいなキーワードで語られる映画とは思えないほど、笑っちゃう場面が多いんですね。

多忙なブリュノをさらに悩ませるのは、お役所から突然入った監査。行政は「無認可の怪しげな組織」を潰そうという腹づもりのようです。さらに「6つの団体から断られた」という自閉症の超問題児が、組織に大変な騒動を巻き起こしてゆきます。  

とにかくどんな状況でも誰に対してもテンパらない主人公ブリュノが魅力的です。特に彼と最も仲の良い自閉症のジョセフとの関係がいい。かつて自分の思いが伝わらない苛立ちで暴力的だったジョセフは、ブリュノとの出会いで落ち着き、普通に働くことができそうなところまで来ているのですが、「ボタンを押すのが大好き」なのが悩みのタネ。ブリュノが奔走して探し当てた就職先、その通勤途中の駅で、ボタン(非常ボタンとか!)が目に入ると押さずにはおれないんですね。駅で騒動になる度に彼を引き取りに行くブリュノは、でもジョセフを絶対に怒りません。

「惜しいなあ。もうちょっとだったのに。でも次はできる」なんて調子で、決して上から目線にならない。それってほんとに大切なことだなあと、実感します。


『スペシャルズ!~政府が潰そうとした自閉症ケア施設を守った男たちの実話~』

【監督・脚本】エリック・トレダノ、オリヴィエ・ナカシュ
【出演】ヴァンサン・カッセル、レダ・カテブ、エレーヌ・ヴァンサン
TOHOシネマズ シャンテほか全国順次ロードショー
© 2019 ADNP - TEN CINÉMA - GAUMONT - TF1 FILMS PRODUCTION - BELGA PRODUCTIONS - QUAD+TEN

https://gaga.ne.jp/specials/

渥美志保
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渥美志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。雑誌やWebのほか、企業広報誌などにも多く寄稿。J-WAVE「KEY COFFE METROPOLITAN CAFE」にてシネマスターとして映画を紹介。TOKYO FM「FMシネマ」では構成とキャスティングを担当。現在は映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がけている。
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