千葉の美術館が今スゴイ!リニューアル2館をフィーチャー

こんばんは。アートテラーのとに~です。
まだまだ油断はできませんが、都内のほとんどの美術館が活動を再開しています。ただ、多くの館が、当初予定されていた年間スケジュールの大幅な変更を余儀なくされています。
山種美術館もそのひとつ。3月14日~5月10日の日程で開催予定だった『【特別展】桜 さくら SAKURA 2020 ― 美術館でお花見!―』。桜をモチーフにした名画を集めたこの展覧会が、会期を夏にずらし、9月13日(日)まで開催されています。夏に季節外れの桜を観られるのは、もしかしたら今年だけかも。山種美術館は、着物で来館した方に対して着物割引があります。今年の夏は、浴衣姿でお花見をしてみてはいかがでしょうか?

さてさて、今回は僕のふるさと千葉県の話題を。千葉県にある2大美術館が、しばしの休館を経て、それぞれリニューアルオープンいたしました。一体どう生まれ変わったのか、緊急リポートいたします!

奇跡の復活!

以前、この連載でも特集を組んだ、世界でもほぼ類を見ない写実絵画専門の美術館、ホキ美術館。そんなホキ美術館を悲劇が襲ったのは、昨年10月25日のこと。台風21号にともなう豪雨により、美術館裏側にあったスロープから地下へと膨大な量の水が流れ込みました。それにより、地下2階の電気設備や展示室の一部が浸水。さらに、作品にも被害は及び、収蔵庫にあった約100点が水に濡れた状態に。そのうち50点は、修復が必要なほどのダメージを受けてしまったそうです。

あまりの被害の大きさに、一時はそのまま閉館することも館長の脳裏によぎったそうですが、写実画家やそのファンのためにと奮起。作品の修復作業と同時並行しながら、電気室を上階に移設、2階展示室の床や壁紙を張り替えるなど、館内の工事も進めました。

そして、ついに8月1日(土)。約9ヵ月のリニューアル作業を経て、「災害に強い美術館」に生まれ変わったホキ美術館がオープンしました!

なお、リニューアルオープン1発目を飾るのは、ホキ美術館にもっとも縁ある画家、森本草介氏の作品が一堂に会す展覧会。

森本草介《牡丹》1997年 ホキ美術館
森本草介《午後のくつろぎ》2008年 ホキ美術館

「私の目にはセピア色のレンズがはまっており、見えるものすべて好きなセピア色なのです」と生前に語っていた森本氏。彼にしか表現できないその絶妙なセピア調の世界をたっぷりとご堪能くださいませ。

ホキ美術館
住所:千葉県千葉市緑区あすみが丘東3-15
電話番号:043-205-1500
開館時間:10:00〜17:30 ※事前予約(電話もしくはHPにて受付)が必要です ※入館受付は閉館時間の30分前まで
休館日:火曜日
入館料:一般¥1,830 ※各種割引制度があります

フロア数の多い美術館

今年で開館25周年を迎えた千葉市美術館。これまでは、旧川崎銀行千葉支店の建物をスポッと覆うように新たに建設された、地上12階建ての建物のうちの一部でした(フロアの大半は、千葉市中央区の施設)。しかし今回の大々的なリニューアルにより、地上12階地下3階の建物すべてが、千葉市美術館に! 日本一、もしかしたら世界一フロア数の多い美術館が爆誕しました。

大きく変わったのは、4階と5階。4階には、美術にまつわる図書約4,500冊をそろえた『びじゅつライブラリー』と、アーティストが、訪れた人々と関わりながらインスタレーションを制作してゆく『つくりかけラボ』なる施設が誕生しました。

さらに5階には、これまでの千葉市美術館にはなかった常設展示室が新設。「千葉市を中心とした房総ゆかりの美術」「近世近代の日本絵画と版画」「戦後の現代美術」という3つのテーマで、実に約10,000点を誇る千葉市美術館のコレクションを約1ヵ月ごと(現代美術は約3ヵ月ごと)に展示替えしながら紹介していくそうです。

ちなみに、現在は常設展示室オープン記念として、これまでまとまった形で展示される機会の少なかった草間彌生作品を一挙公開しています。

そのなかには、海外の美術館からの貸出依頼も少なくないという《無限の網》の大作も。草間彌生ファンならずとも必見です!

あつまる どうぶつの絵

そんな千葉市美術館の7階8階の企画展示室2フロアを使って、リニューアルオープン記念として開催されているのが、8年前に開催された伝説のコレクション展『どうぶつ大行進』をよりパワーアップさせた『帰ってきた!どうぶつ大行進』。千葉市美術館のコレクションのなかから選りすぐられた動物が登場する美術作品約250点を惜しげも無く公開する展覧会です。

犬や猫、鳥や魚、虫といった身近な動物から、麒麟や鳳凰といった架空の動物まで。さまざまな動物が大集結! 美術に興味が無い人でも、純粋に楽しめる内容となっています。

どの作品もオススメですが、個人的に推しなのは、明治時代に活躍し、“最後の浮世絵師”と称された小林清親による《猫と提灯》です。

小林清親《猫と提灯》明治10(1877)年 千葉市美術館蔵

狭いところが好きな猫。この猫も提灯の中に入って遊びたいのかと思いきや、よく見ると提灯の中には鼠の姿が! そう。逃げる鼠。追う猫。「トムとジェリー」のようなワンシーンだったのです。袋の鼠ならぬ提灯の鼠。必死に逃げようとする鼠の姿に、同情の涙を隠しきれません。また、もうひとつ印象的だったのが、歌川国芳の弟子にあたる落合芳幾が描いた《写真鏡 大象図》。

明治時代当時はまだ珍しかったゾウを描いたものですが、なぜかダースベイダー似! しかも、鼻の先をよく見てみると、鼻の穴がなんと4つもあります。

彼が観たのは、本当にゾウだったのだろうか?

千葉市美術館
住所:千葉市中央区中央3-10-8
電話番号:043-221-2311
開館時間:10:00〜18:00 (金曜・土曜日は〜20:00)※入館受付は閉館の30分前まで
休館日:毎月第1月曜日(祝日の場合は翌日)、年末年始(12月29日~1月3日)、メンテナンス日
入館料:常設展(一般)¥300 ※企画展示室の観覧料は展覧会毎に変わります ※各種割引制度があります 

皆さまからの質問大募集!

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美術の魅力をわかりやすく、面白く伝える、世界でただひとりの”アートテラー”。よしもと芸人時代に培った話力と笑いのセンスで、アートを語ります。日本を代表する数々の美術館で、公式トークガイドを担当。著書『東京のレトロ美術館』(株式会社エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)が好評発売中。
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