展覧会がもっと楽しくなる!ワンランク上の鑑賞法3つ

こんばんは。アートテラーのとに~です。
例年よりも長かった気がする梅雨もようやく明け、いよいよ夏本番。暑い日々が始まります。
あまり暑いと外に出るのも億劫で、1年のなかで最も美術館から足が遠のくと言っても過言ではないこの時季。しかし、そんな時だからこそ夜間開館を活用しましょう!
竹橋の東京国立近代美術館では、金曜・土曜はナイトミュージアムとして21時まで開館。白金台にある東京都庭園美術館では、8月いっぱいまで毎週金曜にサマーナイトミュージアムが開催され、こちらも21時まで開館しています。
ちなみに上野の東京国立博物館では、7/26(金)7/27(土)に敷地内で『トーハク BEER NIGHT!2019』が開催されるそう! ビールはもちろん、海老餃子や焼小龍包といった中華風メニュー、話題の台湾風かき氷やタピオカドリンクなどのスイーツも充実しているとのこと。アートとビールと中華が一挙三得で楽しめそうです。ご興味のある方は、この機会に足を運ばれてみてはいかがでしょう?

 さてさて、本日は佑香さんからのご質問を。
「美術館や博物館は興味がある展示をしているときに行きます。ですが、興味あるはずなのにいつもいまいち何を見ていいかわからず…ひと通り作品を見て解説を読んでを繰り返して帰ってしまいます。もっと楽しむにはどうしたらよいですか?」
あー、コレよくわかります。僕も展覧会に行くようになってしばらくは、そんな感じが続いていました。
そこで今回は、長い鑑賞歴のなかで生み出した、僕なりの展覧会での楽しみ方をご紹介いたします。ご参考になりましたら幸いです。 

① ベストポジションを見つけるべし!

Licensed by Getty Images

例えば、ゴッホの作品を思い浮かべて頂くとイメージしやすいかもしれませんが、絵画は平面作品とはいっても、意外と絵の具がモリモリ表面がボコボコしています。それゆえ、見る角度によって、全然表情が違います。

普段、画集やネットで目にする絵の姿は、真正面から捉えたもの。展覧会で本物を前にした人だけが、右斜めから左斜めから、あるいは下から見上げるように観ることができるのです。また、作品によっては、ぐぐっと近づいた時に思わず細部にハッとさせられるものもあれば、うんと距離を置いて引きの画で観た時に初めて魅力が伝わるものもあります。
作品をただ正面から観て、はい次の作品・・・ではなく、自分なりのベストポジションを探してみようとすることで、展覧会はぐっと楽しくなります。

ちなみに、これはあくまで個人的な見解なのですが、日本画はなるべく近づいた方が魅力的に感じられます。というのも、日本画に主に使われている岩絵具は鉱石を砕いたもの。近くで観ると、まるで宝石のように実にキラキラしているのです。

② 額縁に注目すべし!

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「展覧会には当たり前にあるのに、画集やネットで絵が紹介されるときには無くなってしまうもの、な~んだ?」って、これはとんちやなぞなぞではありません。
正解は、額縁です。展覧会の想い出に図録やポストカードを購入したとしても、そこには額縁の姿はありません。“額縁が観られるのは展覧会だけ” なのです。

普段あまり意識しないかもしれませんが、額縁にも注目しながら絵を観てみましょう。絵の格調をより高めるゴージャスな額物もあれば、絵の魅力を最大限に引き立てるシンプルな額縁もあります。なかには、装飾過多で額縁のほうが絵よりも目立ってしまっているものも。額縁にもさまざまな個性があるのです。

なお、日本画の展覧会の場合は、掛け軸の表具に注目すべし! 表具も展覧会でしか楽しめないものです。一流の日本画は、表具ももちろん一流。作品のイメージに合った豪華絢爛な裂(きれ)が用いられています。
1つの軸に対し、使われている裂は2種類以上。その組み合わせは、ファッションの参考にもなるかもしれません。

③ 配置を楽しむべし!

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展覧会に飾ってある作品は、ただ適当に並べられているわけではありません。どの高さに飾れば最も見やすいか、作品と作品の間をどれだけ空けるか、どういう順番で展示すれば展覧会の意図が伝わりやすいか・・・など、展覧会を担当する学芸員さんは試行錯誤を何度も繰り返して展示を決定しているのです。

学芸員さんによっては、隣り合う作品だけでなく、対面にどの作品を展示するのかまで気を配るタイプの人も。展覧会に行き慣れてくると、徐々にそういう狙いがわかってくるようになります。
「はは~ん。なるほど。この作品とこの作品を対比させて展示させてるわけね(ニヤリ)」。つまり展覧会では、作品を1点ずつ鑑賞するだけではなく、並び合う同士や向かい合う同士など作品の関係性も楽しむポイントなのです(←マニアックですがw)。

ちなみに、もっとこだわるタイプの学芸員さんは、隣の展示室から観たときの視点まで考えて作品を展示する位置を決めています。展示室に入る前からすでに鑑賞は始まっているのです。

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美術の魅力をわかりやすく、面白く伝える、世界でただひとりの”アートテラー”。よしもと芸人時代に培った話力と笑いのセンスで、アートを語ります。日本を代表する数々の美術館で、公式トークガイドを担当。著書『東京のレトロ美術館』(株式会社エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)が好評発売中。
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