貯金できない!と嘆くあなたに試してほしい、シンプルな仕組みづくり

「夏に散財して貯金が減った」「ボーナスが入ってもすぐ使っちゃう!」「今月こそは節約!と思っていたのに、一向に貯金が増えない」……そんな貯金の悩みに効くのは、心理学と経済学の組み合わせた「行動ファイナンス」かもしれません。今回は経済学者、シェロモ・ベナルチのスピーチを紹介します。

ベナルチのスピーチのタイトルは「明日のために、明日は貯めよう」。字面だけではピンとこないかもしれませんが、まずは本題の前に「貯金できない理由」を探っていきましょう。

貯金できない3つの理由

Licensed by Getty Images

人が貯金をしない理由は3つあるとベナルチは言います。

1つめは「現在志向バイアス」。これは、未来の利益よりも目先の利益を優先してしまう心理です。

「われわれは貯畜が必要なことを知っています。来年はしようと思っています。しかし今日は使ってしまうのです」とベナルチ。貯金は必要だとわかっているわたしたち。でも目の前に素敵なコスメやランチが現れたとき、未来の貯金のことは頭から抜けてしまいがちです。

2つめは「行動の欠如」。人は何もしないという選択をしがちだということです。

ベナルチが出したのは臓器提供の例。ドイツとオーストリアでは、免許取得時に臓器提供に同意した人の割合がそれぞれ12パーセントと99パーセントだといいます。この大きな差の理由は何でしょう?

答えは「質問の違い」。ドイツでは「私は臓器を提供します」の欄にチェックボックスがあったのに対し、オーストリアには「臓器提供をしたくありません」の欄にチェックボックスがあったのです。人間は判断を先延ばしにする生き物。それゆえ、何も行動しなくていい方を選ぶ人が圧倒的に多いというわけなのです。

アメリカの401K(確定拠出年金制度の一種)は選択性。多くの人が選ばない道に進んでしまい、結果的に貯金の機会が失われているとベナルチは説明します。

3つめは「損失回避」。わたしたちは、物を失うことを非常に嫌います。
「ATMで100ドルを引き出し、20ドル札を1枚なくしたら嫌でしょう。たいしたことではないのに非常に苦痛です。20ドルは昼食程度なのに」

さらに、われわれは心理的にも情緒的にも本能的にも、貯蓄を損失と感じるとベナルチは言います。今使えるお金がなくなってしまう、と。

「明日貯める」貯金とは?

Licensed by Getty Images

ではどうすればお金を貯められるのか? ベナルチが提唱するのは「明日貯める」方法です。

今日ではなく、自分が想像できる未来の一点でお金を貯めることにします。こう言うとちょっとややこしいですが、「いま貯金するのではなく、未来に貯金できる仕組みをつくる」ということ。貯金しようと決めたら、来月からお給料が天引きされるようにするということです。

こうすることで、お給料が自分の口座に入る前に貯金されるため「現在志向バイアス」に陥ることがありません。

さらに「損をした」という感覚をなくすために、ボーナスや昇給時に増えた分のお金をそのまま貯金に回します。「昇給したら貯蓄の割合を増やす」ことを続ければ、年々貯金額は増えていきます。

実際にある企業で昇給のたびに、3%貯蓄額を増やすことをすすめたら、これまで貯金できなかった人が貯金できるようになったとベナルチは言います。

本人も「お恥ずかしいほどに単純な解決法」と言うこの貯金法。その成功の鍵は「見る前に貯金してしまう」仕組みづくりです。目の前に素敵なコスメがあっても、使えるお金がなければ手も出せない。ストイックなようで、意外とストレスフリーな方法なのかもしれません。

文/タカハシアスカ


タカハシアスカ/ライター
ナビゲーター
タカハシアスカ/ライター
ヨーロッパ在住ライター&時間を見つけてはふらっと旅に出るウィークエンドトラベラー。 長期の海外経験で培った感覚で、アラサー女性に刺さるものをピックアップ。 日々ユニークなものを求めて、ヨーロッパ各国をうろうろしています。
このナビゲーターの記事を見る