夜空を見上げてみよう。月のパワーを浴びて、美しい心を育む

日毎に空気は澄みわたり、夜の時間が長くなるこの季節。一年の中で最も月が美しく輝く時期でもあります。 月の満ち欠けと女性の体のリズムには、密接な関係があると言われています。 月を愛でれば、美しい心が育つ。世界で活躍する禅僧・枡野俊明氏の「禅と月」のお話をご紹介します。 今晩は夜空に浮かぶ月を見上げて、自然のパワーを取り入れてみませんか?

月を愛でる

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日本人は古くから「月」を楽しみ、愛してきました。建物を建てるときに月を見るための月見台を設(しつら)えるとか、中秋の名月がおさまる位置に窓をつくるとか、月を愛でるためにさまざまなアイディアを駆使してきたのです。
よく知られるのは足利義政が建立した京都の銀閣寺の「向月台(こうげつだい)」。白砂を富士山のような形に盛り固めた向月台とその傍に波のように敷かれた白砂の銀沙灘(ぎんしやだん)は、月を楽しむための造形の最高傑作といってもいいでしょう。今は亡き芸術家の岡本太郎さんは、「私の発見したよろこびの、もっとも大きなものの一つだった」(『日本の伝統』知恵の森文庫)と、初めて向月台を見たときの感動を綴っています。

月と真理

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禅では月を「真理」に重ねています。「千江同一月(せんこうどういつのつき)」という禅語がありますが、それぞれに違う千の川面に同じひとつの月が映っている、つまり、濁った川面であろうと、澄み切った川面であろうと、そこには分け隔てなく月が映し出される(真理があらわれている)、ということを意味しています。
何も分け隔てしない、誰の命をも等しく大切にする、というのが禅の心。ときには月を眺めながら、それを心ゆくまで愛でた日本人の心、そこに真理を見た禅の心に、軽~く思いを馳せてみてはいかがでしょう。

月齢とともに生きる

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月の初めを「ついたち」といいますが、漢字で書けば「朔日」。その語源は「月立ち」だといわれています。月が立つとは月があらわれるという意味。月の満ち欠けによって月日を数える旧暦では、新月があらわれる日をその月の最初の日としていたわけです。月は私たちの生活とも深く結びついていたのです。
今、月の満ち欠けが書き込まれた「月齢カレンダー」がひそかなブームになっているようです。「おっ、今夜は満月か! 寄り道しないで帰って、ベランダからお月見しよう」。忙しい日々のなかにそんな時間があると、気持ちが穏やかになるような気がするのです。一度、試してみませんか?