【大人の豆知識】字源を知って納得!なぜ「1」には一と壱の漢字がある?

ここは、日ごろから書道を教えている書画家・夏生嵐彩の連載「文字のクリニック」。普段何気なく使っている文字の由来を知ると、日本語の奥深さに興味が出てくるはず。今回は、漢数字についてのお話です。(編集部)

漢数字が2つある理由とは?

よく、ご祝儀袋などの裏面に書く金額の欄に「壱萬円」や「参萬円」と普段使わない漢数字を書くことがありますよね。

その理由や由来をご存知でしょうか? なんとなく慣例だから・・・と行っていることですが、実は理由を知らないことってたくさんありますよね。  

今回はこの漢数字を別の字に置き換えることについてお話しいたしましょう。  

数字を置き換えて書くようになった理由

「一」を「壱」のように置き換えられた字のことを大字といいます。大字は、あとから書き足されたりして数字の改ざんなどがされぬよう、証券などの場で使われていますが、大字が使われるようになった紀元前でも理由はまったく同じでした。 
いやはや、古くから改ざん防止対策の字があったと考えると感慨深い・・・大昔から商売で悪いことをしようと考える人はいたのですねえ。

これらの大字は、大字のために開発された字というわけではなく、もともとあった字にその用法を加えたものばかりです。

では、同じ音を持つ漢字はたくさんあるなかで、なぜこの似ても似つかない形の字が代用されるようになったのでしょうね? 今日はそれについて少しお話ししてみましょう。

一と壱について

・「一」・・・数を数えるときに用いる算木を横に並べた形
・「壱」・・・旧字は「壹」。(音)イチ・イツ(訓)もっぱら・ひとつ

壹は壺(つぼ)の形
を表していて、中身がいっぱいに満ちたりたツボを「一杯、ひとつ」と数えたことから「一」の意味に用いる。

なるほど。算木としての「一」と、入れものとしての壺を1つの単位として使っていた「壹」となら類似性がとても近いですから、大字として適切だったのですね!

二と弐について

・「二」・・・算木を2本重ねた形。
・「弐」・・・旧字は「貳」。(音)ニ・ジ(訓)ふたつ・たがう

貳は青銅器に刻まれている銘文をほこで削って改変を行うことを意味したことから、原文を変える→「ふたたび、ふたつ」の意味となった。

なるほど、これも算としての「二」の代わりに、「ふたつに分けて変える」意味をもった「貳」を用いるようになったことは納得ですね!  

三と参について

・「三」・・・算木を3本重ねた形。「あつまる」ことも意味する。
・「参」・・・旧字は「參」。(音)サン・シン(訓)まいる・まじわる・みつ  

參は三本のかんざしを集めて頭髪に挿しているようす。かんざしを頭の中心に集めていることから「あつまる」の意味にも用いる。

「三」そのものにも集まるといった意味があり、大字にされている「參」もかんざしが3つあつまることから「三」の意味があるうえ、「集まる」の意味も同時に持つことから、とても関連の強い字であることがわかりますね!

「四」以降についてはこんな感じ

詳細が不明瞭な字もあり申し訳ないのですが、やはりほとんどの大字が適当に音感だけで採用されたのではなく、字の意味や、漢字の部分同士の意味が近いものから代用しているのだということがわかりましたね!

字源からたどっていくと本当にさまざまな発見があって面白いものです。

ということで、次回からは言葉の字源に特化したシリーズをお届けしたいと思っています。今まで通り字の書き方・整え方のコツについても言及しつつ、言葉の意味や由来を漢字の起源までさかのぼって掘り下げていきます。

新シリーズも楽しみにしていてくださいね!それではまた。  

文・イラスト/夏生嵐彩

夏生嵐彩/書画家
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夏生嵐彩/書画家
東京学芸大学 書道科卒業。書道と水墨画の教室『墨サロン』主宰。 全日国際書法会 理事/ 日本芸術書院 評議委員。大正ロマンやアールデコに影響を受け、レトロな美人画を得意とする一方、伝統技術と舞台演出を駆使した水墨画ライブペイントや、アートを取り入れた児童への教育活動を行い、文化と教育のために一石を投じている。
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