それ迷信です! 人を惑わす毒キノコに気をつけて!

味覚の秋♪ 夏のおひさまをたっぷり浴びて、たわわに実った果実や野菜。魚も肉も益々美味しくなります。 そして、秋といえば、ヘルシーで栄養たっぷり、味も香りも魅力的な“キノコ”のシーズン。 行楽で山に出かけた時など、いたるところで出会えるキノコは世にもかわいい存在ですが、キノコ初心者は、おいそれと手が出せない生きものでもあります。 神秘的で危険なキノコの世界と、実は迷信だったお話をご紹介します。

「殺しの天使」の名を持つ最強の毒きのこ

[ドクツルタケ]
誤って1本食べただけでも、処置をしなければほぼ確実に命を落とす、最強の毒きのこのひとつ。学名のvirosaも「毒」の意。英名はDestroying Angel(殺しの天使)です。
毒性が強いだけでなく、症状の現れ方も恐ろしいのです。食後6~24時間ほどで胃腸系の症状が出て、いったん症状が回復したように思える時期があります。そこで安心してしまって治療をしないと、1~3日後から肝臓や腎臓が破壊され、2~7日後に死亡するのです。決して食べてはいけません。

漢字表記 : 毒鶴茸
学  名 : Amanita virosa Bertill.
生える場所 : 広葉樹林や、モミ林、ツガ林などの林床
生える時期 : 初夏~秋
傘の直径 : 5~15cm
柄の長さ : 14~24cm
中毒症状 : 食後6~24時間で激しい下痢などの胃腸系の症状。のち、肝臓や腎臓などの機能障害が現れ、処置しなければ死亡する。


根強い迷信

毒きのこを見分けるのは、とても難しいものです。古くから、いくつもの迷信があり、いまなお信じられているものもあります。
「色が鮮やかなきのこは毒」「柄が縦に裂けるきのこは食べられる」「いやな臭いがしなければ食べられる」「ナメクジや虫が食べているきのこは食べられる」「ナスと煮ると食べられる」「塩漬けにすれば食べられる」「煮汁に銀の食器を入れて変色しなければ食べられる」などなど。
これらの方法は、科学的な根拠がなくすべて誤りです。


専門家と一緒に

初心者がきのこの食毒を判断するのは、とてもキケンです。
植物園や博物館などで開催されている観察会や、専門家が指導するきのこ狩りに参加するなどして、実物を見ながら、ひとつひとつ覚えていくのが、きのこを見分ける確実な方法です。
食べることが目的でないなら、森で毒きのこに出会うのは楽しいもの。森の風景をバックに写真を撮ったり、絵に描いたりするのも、きのことの楽しいつき合い方です。

新井文彦
ナビゲーター
新井文彦
1965年生まれ。きのこ写真家。明治大学文学部卒業。著書に『きのこの話』(ちくまプリマー新書)がある。ライター業、コピーライター業に加え、夏から秋にかけては、北海道・道東地方で、ネイチャーガイドにもいそしむ。おもなフィールドは阿寒の森。各地で写真展やトークショーなども行っている。森の空気まで感じられる写真と言葉で、きのこや森の魅力を伝えている。ほぼ日刊イトイ新聞にて「きのこの話」連載中。
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