どうか、無視をしないでください。【E-girls山口乃々華連載 ののペディア/導き】

E-girlsメンバーの山口乃々華さんが、瑞々しい感性で綴る連載エッセイ「ののペディア」。今、心に留まっているキーワードを、50音順にひもといていきます。

第32回「み」:導き

当時はなんてことないと思っていた選択が、意外なほど今につながっている。そんなことを近頃感じている。

タイミングやご縁ももちろんあって、とても大切だったけれど、ある意味それらを引き寄せる選択をしていたとも言える気がする。

「日々は選択によってできている」

あのときあの人が、言葉を尽くして教えてくれたのは、シンプルにこういうことだったのだなと、今になって身に沁みる。

あれ以来、頭の片隅にずっとその言葉があるので、選択を迫られたとき「さ、どっちを選ぶ?」と一旦落ち着くよう自分に問いかける。
それはもう癖になっていると思う。


じっくり悩むこともあれば、すんなり決められることもある。

こっちを選んだほうがいいのだろう、と忖度して選択し、結果、力の湧かなさに愕然とすることもある。合理的に生きようなんて、やっぱり難しいなと、自分の不器用さを改めて知る。
きっと何事にも、自分の足でその道の端っこに生えている草をわざわざ踏んでから前に進みたい、みたいなところがあり、そうでないと納得できないのだと思う。
だから、いちいち回り道をするわたしを避けたくない。

それから、不思議と何かに導かれるように答えを決めることもある。
じっくり考えて決めることがほとんどだけれど、たまにそんなことがあるのだ。

わたし自身の脳味噌や意志とは関係のないところから、なんというか“導かれる”としか言いようがない、そんな感覚。まるで誘導されているかのようにすんなりと答えを選んでいる。

それは不思議な体験で、絶対にこっちだろうと気がついているような気さえする。
例えば明日のテストに出る問題が予めわかって勉強するように、いつのまにかわたしのためにわたしが正しい選択をし、必要な知識や情報を得ていた、なんてこと。

単なるラッキーかもしれないけれど、少なくともこれは天のお告げでも神様からの救いの手でもないような気がしていて、じっくり考えてみたところ、もしかするとわたし自身の無意識が判断しているのかもしれない、と思った。

なぜそんなことができるかというと、たぶん、過去にたくさんの選択を積み重ねるなかで悩んだり、深く考えたりした経験は頭の片隅に蓄積されていて、普段の自分がそれらをすっかり忘れていても、新しい選択を前にしてふと蘇り、今度は瞬時に答えが出せるのだ。

まるで、過去のわたしが今のわたしに答えを囁きかけてくるみたい。


そんな“導き”の力を感じたとき、いつもこうだったらいいのにと、怠惰な自分が欲を出す。

でも当然、過去が今を作ったということは、今が未来を作るということでもある。

大事なのは、日々の自分の選択に真摯に向き合い、判断に自信を持ち、納得していること。苦しくても、今、選択を繰り返すこと。そしたらきっと、どこかの瞬間で、大きな力となって私のもとに返ってくる。

いつのまにかわたしを導いてくれる。

そう思うと、日々の選択のなかで我慢したことや、諦めたことにも、希望があると信じられる。


そっちじゃないよ、こっちだよ。

過去からの囁き。

その声はとても小さく、信じてよいのか不安になることもあるかもしれないけれど「どうか、無視をしないでください」。
未来のわたしに思う。


【ののペディア/導き】
過去からの囁き

山口乃々華/E-girls
ナビゲーター
山口乃々華/E-girls
3月8日生まれ、埼玉県出身。2011年にLDH主催の「VOCAL BATTLE AUDITION 3」を経て、2012年発売の「Follow Me」よりE-girlsとしてデビュー。2014年から女優業もスタートし、映画『イタズラなKiss THE MOVIE』シリーズ、ドラマ・映画「HiGH & LOW」シリーズやHulu版「崖っぷちホテル!」今年の夏には「私がモテてどうすんだ」にヒロイン役で出演する等、活動の幅を広げている。 2020年9月19日〜26日にアベマLDH祭り〜秋のLIVEスペシャル〜「LIVE×ONLINE IMAGINATION 」の開催が決定! E-girlsは9月25日(金)に出演予定。ぜひご覧下さい!
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