軽快な掛け合いがクセになる!“偽”夫婦が巻き起こすドタバタ騒動の行く末は!?

愛人たちに別れを切り出せない男と、がめつい性格の担ぎ屋の女がそれぞれの目的を果たすため、“偽”夫婦を演じることになるドタバタ現代喜劇「グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜」。戦後の混乱から復興へ向かう昭和の日本を舞台に、登場人物たちの憎めず、どこか愛おしい姿を面白おかしく描いた今作を映画ライター、渥美志保さんに語っていただきました。(編集部)

「瓢箪から駒」の恋を描く王道コメディ

なんとなく優柔不断で人当たりがよく、上から物を言わず可愛げがあり、そこそこお金があってしかも金払いがいいーーこういう男性は、たとえイケメンでなくとも結構モテるもの。ただ信用できるかといえばまったくの別問題。この作品の主人公で、編集者の田島周二は、まさにそういうタイプです。

物語の舞台は戦後の昭和時代。戦争中、田舎に避難させていた妻子を呼び戻したい田島は、その前に4人の愛人たちとの関係を解消しようと考えます。でも優柔不断だし相手に憎まれたくないし……ということで考えたのは、どこぞの美女を「偽の妻」に仕立てて、愛人のもとを訪ね歩くこと。「あんな素敵な奥様がいるんだから…」と、相手は自分から身を引くだろうという計算です。ところが探し当てたピッタリの美女・永井キヌ子が、見た目と中身のギャップの激しい予想外のタイプだったために、いろいろな騒動が巻き起こります。

最終的には主役の二人がくっついてハッピーエンドと結末が分かっているのに、何故か見ちゃうし面白い、というのが良質なラブコメディの基本。この作品はまさにそういう王道ラブコメで、優柔不断な周二と、ガサツなキヌ子は、最初はお互いに「まさかこんなヤツと」と思っているのですが、喧嘩しながら距離を縮めてゆきます。

キヌ子を演じる小池栄子は、オリジナル版の舞台作品でも同じ役を演じている俳優。男顔負けの怪力で大食い、好き放題に物を言い、でも正義感でお人好しのキヌ子を魅力的に演じています。一方、大泉洋演じる周二は、脱力感と憎めない図々しさでなんとなく許されてしまう、いうたら人気バラエティ「水曜どうでしょう」そのまんま。生まれ持っての才能としか思えません。時代背景もあり、「女なんて簡単に手なづけられる」と思っている周二が、想定外の反応しかしないキヌ子(そして愛人たち)に手を焼き、ヘロヘロになっていくさまが本当に笑えます。

この作品は、太宰治が死ぬ間際に書いた未完の小説を原作に、後半部分を演出家ケラリーノ・サンドロヴィッチが書き足して、完成させたものです。その後半には、実は事件や裏切りなど、思わぬ展開が目白押し。でもそのすべてが丸く収まる、悪人皆無、後味スッキリの作品です。

『グッドバイ〜嘘からはじまる人生喜劇〜』
【監督】成島出
【出演】大泉洋、小池栄子ほか
新宿ピカデリーほか全国ロードショー
©2019「グッドバイ」フィルムパートナーズ    
http://good-bye-movie.jp/

渥美志保
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渥美志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。雑誌やWebのほか、企業広報誌などにも多く寄稿。J-WAVE「KEY COFFE METROPOLITAN CAFE」にてシネマスターとして映画を紹介。TOKYO FM「FMシネマ」では構成とキャスティングを担当。現在は映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がけている。
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