恋と人生を探して男女3人が彷徨うNYマンハッタン。観光名所巡りも楽しめる1本

NYのセレブ一家の子息ギャツビーは、恋人で大学新聞の記者アシュレーの取材を口実に、週末をマンハッタンで過ごすことに。ところが彼女は取材に出たきり戻らず、1人きりで馴染みの古巣をぶらつき始め・・・・・・。

親のすねかじりのこじらせ男子=ティモシー・シャラメ、有名人取材で舞い上がる田舎の不思議ちゃん系お嬢様=エル・ファニング、クールでオシャレな都会のセレブ女子=セレーナ・ゴメスが三者三様に魅力的。


高級ホテル「ピエール」、カーライルホテルの伝説のバー「ベメルマンズ」、セントラルパークなど、映画でNYの名所巡りも楽しめるというこの作品の魅力を、映画ライター渥美志保さんにたっぷりと語っていただきました!(編集部)  

ティモシー・シャラメと一緒に、マンハッタンの名所巡り

Photography by Jessica Miglio ©︎2019 Gravier Productions, Inc.

NYのセレブ家庭の子息であるギャツビーは、文化人気取りの母親に反発し、名門大学をドロップ・アウト。現在は転学したアリゾナの大学で、地元銀行の頭取の娘アシュレーとの恋愛に夢中です。大学新聞の記者をしているアシュレーは、著名な映画監督にインタビューする機会を得て、マンハッタンに行くことに。ここぞとばかりに案内を買って出たギャツビー。ロマンティックな週末旅行を期待するのですが、予測不能の”不思議ちゃんアシュレーの自由すぎる行動に振り回され、マンハッタンを右往左往することになります。

映画の最大の魅力は、なんといっても主演のティモシー・シャラメとエル・ファニング、そしてセレーナ・ゴメスの3人の顔合わせ。ティモシーが演じるギャツビーは、どうでもいい知識ばっかり持ってる中2病的こじらせ男子で、天才的にギャンブルに強い青年。母親のスノッブさに絶賛反発中ですが、そのくせ「親のコネ」は存分に使うという、ぐうたらドラ息子です。

Photography by Jessica Miglio ©︎2019 Gravier Productions, Inc.

神経質で理屈っぽく皮肉っぽい「ウディ・アレン映画の主人公」は、軽やかなヌケ感をもって演じないと魅力的になりません。ティモシーはさらに彼独特の憂いを加え、この甘ったれ男をチャーミングに演じています。

一方のエル・ファニング演じるアシュレーは、まさに無邪気でマイペースな「おっさんが放っておかないタイプ」の不思議ちゃん。最初の取材対象である映画監督をきっかけに、次々と現れるセレブおっさんに毎度口説かれ、そんなこと初めてなので舞い上がり、ホイホイついていっちゃう——って書くとなんだか尻軽感がありますが、そうは見えないのが、これまたエルのすごさ。おもしろ天衣無縫っていうんでしょうか。

Photography by Jessica Miglio ©︎2019 Gravier Productions, Inc.

ここに加わるセレーナ・ゴメスが、これまたすごくいい。彼女はギャツビーの昔の恋人の妹なのですが、いかにもニューヨーカーなクールさ(とオシャレさ!)で、遠慮なく本質をつくピリリとした言葉もカッコいい。

狭いマンハッタンのなかですれ違ったり遭遇したりするこの3人が、ロマンティックとコミカルの緩急を作りつつ(最後に驚きの事実も明かされ!)、いいバランスの物語を作っていきます。

NYの高級ホテル「ピエール」、カーライルホテルの伝説のバー「ベーメルマンズ」、セントラルパークなど、映画でNYの素敵スポットを巡ることができるのも魅力的。LAが「ピーカン」なら、NYは雨模様というのも、都会のちょっとした憂鬱が感じられ、いい雰囲気です。

Photography by Jessica Miglio ©︎2019 Gravier Productions, Inc.

さてこの映画を紹介するときに、必ず触れなければいけないこと。それはこの映画の監督ウディ・アレンが、自身の娘ディランが幼い頃に性的虐待をしたのではないかという疑惑です。それ自体は裁判で無罪判決を受けていますが、#MeTooの流れを受け、ディランの弟ローナン・ファロー(あのハーヴィー・ワインスタインを告発する記事を初めて書いたジャーナリスト)が姉を支持し、多くの俳優たちが「アレンとは二度と仕事はしない」と宣言。この作品でもティモシー・シャラメとセレーナ・ゴメスは出演料の全額、エル・ファニングは一部を、性的虐待の被害者に寄付すると発表しました。

こうした事件では被害者を信じるのは大前提。アレンはハリウッドからほぼ追放され、映画もアメリカではお蔵入りになっています。私自身は「監督と作品は別モノ」とは思いませんが、「監督=作品」として全否定するのも、俳優たちが素晴らしいだけに、微妙な違和感があります。歯切れが悪いのは承知で、今回はそういう情報も併せつつご紹介。作品の周辺のこうした社会的な面も、少し気に留めてもらえるといいなと思います。

Photography by Jessica Miglio ©︎2019 Gravier Productions, Inc.

『レイニーデイ・イン・ニューヨーク』
【監督・脚本】ウディ・アレン
【出演】ティモシー・シャラメ、エル・ファニング、セレーナ・ゴメス、ジュード・ロウほか
7月3日(金)新宿ピカデリー、ヒューマントラストシネマ有楽町ほか全国ロードショー
©2019 Gravier Productions, Inc.
longride.jp/rdiny/

渥美志保
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渥美志保
TVドラマ脚本家を経てライターへ。雑誌やWebのほか、企業広報誌などにも多く寄稿。J-WAVE「KEY COFFE METROPOLITAN CAFE」にてシネマスターとして映画を紹介。TOKYO FM「FMシネマ」では構成とキャスティングを担当。現在は映画を中心にカルチャー全般のインタビュー、ライティングを手がけている。
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