アートって何が楽しいの? ――《水曜夜はアートの話を》by アートテラー・とに~

皆さまから寄せられたアートに関するあらゆる質問に、アートテラー・とに~がお答えする新コーナー「水曜夜はアートの話を」が今日から始まりました。パチパチ。
初回はGINGERweb編集部の方から寄せられた質問に答えたいと思います。
「アートって敷居が高いですよね。アートって何が楽しいのですか? あと、そもそもアートテラーって何ですか?」(編集:20代)
 ・・・ですよね(笑)。いきなり登場して、アートテラーって名乗られてもキョトンとしますよね。そうですね。まずは簡単に自己紹介させてくださいませ。  

世界ただひとりの職業。アートテラー

ホキ美術館公式イベントにて

ひと言でいえば、アートテラーとはアートの魅力をわかりやすく、かつ面白おかしく(←ここ重要!)トークで伝える職業です。「アート」と「ストーリーテラー」を組み合わせた造語で「アートテラー」。よくファッション系の方には、「アートテーラー」と間違えられますが、スーツは作れませんのであしからず。ちなみに、吉本興業を辞めた2009年から、この職業名を名乗っています。残念ながら2代目がまったく現れないので、この約10年間ずーっと世界でただひとりのままです。名乗りたい方がいれば、いつでもどうぞ!
美術館でギャラリートーク(という名のネタ)をしたり、美術館をわいわい巡るアートツアーを主催したり。アートに興味がない人にも楽しんでもらえるよう、日々、なんやかんや活動しております。どうぞよろしくお願いいたします。

アートも好きになってみてください!

Licensed by Getty Images

さて、アートの魅力を広めるアートテラーを長いことやっていますが。僕自身は、アートが何よりも好きというわけではありません(笑)。アートも好きですが、映画も小説もグルメもレジャーもファッションも同じくらいに好きです。アートはあくまで、余暇の過ごし方の選択肢のひとつに過ぎません。
アートに興味を持ったのは、大学4年生のときのこと。それまでは、休日になると、「映画観るかなぁ? 本屋行くかなぁ? 買い物行くかなぁ?」と、暇を持て余し気味だったのですが、そこにアートという選択肢が加わったことで、暇を持て余すことがグッと少なくなりました。というのも、都内の美術館の数は、意外と多いのです。都内を飛び出て関東近郊の美術館も含めると、まぁ多い。ギャラリーとなると、数えきれないほど。しかも展覧会は、次々と新しいものが始まります。全部を観るなんて、到底不可能です(汗)。

ちなみに、日本では当たり前のようにルーブル美術館展やメトロポリタン美術館展などが開催されていますが、こんなにも世界の美術品がバンバンやってくる国は、何を隠そう日本だけ。それに加えて、海外の方がわざわざ観に来る浮世絵や日本刀、仏像といった日本美術だって、そこら辺で楽しめてしまいます。世界中のグルメが集まる東京。実はそれ以上に、世界中のアートが集まる都市でもあるのです。そんなスゴイ環境にいながら、アートに興味がないだなんて。なんともったいないのでしょう!
・・・・・・・どうですか?! 少しはアートに興味が湧いてきましたか?

アートを楽しむ最大のコツは、誰かと一緒に観ること

ホキ美術館公式イベントにて

先ほどお話ししたように、映画も小説もアートと同じくらいに好きなのですが、「感想を共有する」という点に関していえば、やはりアートが一番面白いです。例えば、誰かと映画を観に行ったとしましょう。上映中は、他のお客さんに配慮して、静かに鑑賞しなければなりませんね。その後、スタバかタリーズに移動し、そこではじめて感想を共有するわけですが、大体は「あのシーンよかったよね」や「主演の〇〇カッコよかったよね」のように、確認作業をして終わってしまいがちです。小説もまたしかり。ふたりで同時に読むのは難しいので、基本はひとりが読み終わったあとに、もうひとりにその本を貸して、後日感想を共有することになります。で、やっぱり確認作業をして終わってしまいがちです。

ところが、アートは違います。一緒に行けば、もちろん同じタイミングで観られます。他のお客さんに最低限の配慮をする必要はありますが、基本的にどの美術館もトークはOKです。感想をその場で共有することができるのです。
では、思った感想をお互い率直に口にしてみましょう。「う~ん、この構図が素晴らしい!」とか「この配色は絶妙だね」とか、無理しなくていいです(笑)。「キレイ!」「カワイイ♪」「怖っ!」「キモッ!」「エロッ!」「わかんねーw」。何でもいいですよ。「この人って、課長に似てない?」「私、この人タイプかも!」「こんな髪型、ダサいよね」なんてのもありです。

さてさて、そのお互いの感想は、大抵の確率で違っているはず。映画や小説と違って、アートには基本ストーリーがないので(神話画や聖書画なんてのもありますが、とりあえず今はスルー)、感想は人によってバラバラになります。十人十色。百人百色です。相手の感想を聞いた上で、改めて美術品を観てみると、さっきとは全然違って見えるはずですよ。
もし、ある美術品を見て、自分がつまらないと感じたとしましょう。でも、相手はその美術品に魅かれている可能性があります。そのときは、理由を聞いてみましょう。それによって、自分もその作品がちょっと好きになるかもしれません。反対に、同行者もつまらないと感じていたら、「だよねーw」と笑い飛ばしましょう。その人とは、相性ピッタリです。
他にも、アートの楽しみ方はいろいろとあるのですが、夜も更けてきたので今日はこの辺で。また次回お会いいたしましょう。

誰にも聞けないことでもお気軽に。アートにまつわる質問大募集!

GINGER2017年11月号「エディターNinaの取材メモ」では東京富士美術館へ

これから毎月第2、第4水曜日、アートに関する皆さまの疑問にお答えしていきます。「デートにピッタリの美術館は?」「カフェがオススメの美術館って?」という具体的な質問から、「現代アートって、何が面白いの?」「何であんなに美術品って高いの?」「ピカソってすごいの?」という誰にも聞けなかった質問まで。
何でもお寄せくださいませ。わかる範囲で、お答えします。



とに~/アートテラー
ナビゲーター
とに~/アートテラー
美術の魅力をわかりやすく、面白く伝える、世界でただひとりの”アートテラー”。よしもと芸人時代に培った話力と笑いのセンスで、アートを語ります。日本を代表する数々の美術館で、公式トークガイドを担当。著書『東京のレトロ美術館』(株式会社エクスナレッジ)『ようこそ! 西洋絵画の流れがラクラク頭に入る美術館へ』(誠文堂新光社)が好評発売中。
このナビゲーターの記事を見る