メンズ見え服のおしゃれ活用法~スタイリスト青木貴子のモノ語り

ファッションのみならず、食やインテリアまで、自身のこだわりに叶ったモノに囲まれた心地よい暮らしを楽しむ、スタイリスト青木貴子さんの連載「おしゃれを彩るモノ語り」。選んだひとつひとつのアイテムに、特別な想いがあるそう。 青木さん自身のスタイルを構築している要素 = 身のまわりのモノについて、 お気に入りの理由、そのアイテムの魅力や背景、使い心地や着心地、 どんな時間をそのモノと共有してきたのか・・・・など、大切なモノたちにまつわる物語を綴っていただきます。
今回は、青木さん曰く「オジさんアウター」にまつわるストーリーです。(編集部)

ギャップが作り出すおしゃれ感を楽しむ

春になったとはいえ、まだまだ夜は肌寒い季節の変わり目。でももうコートは重いカナという季節には、ナイロンやポリアミド素材の風を通しにくいライトジャケットが重宝します。いい具合の丈はヒップが隠れるくらい、この長さがあると腰もおしりも冷えなくって、やっぱり安心。わたしがこの季節によく着ているのが今回紹介するジップジャケット。
どちらもメンズによくありそうな(逆にレディースだとあまり見かけないタイプの)デザイン。私的には「オジさんアウター」というカテゴリーのもの(笑)。

ひとつ目はロロピアーナのジャケット。このデザイン、ロロピアーナでは定番の型。ほぼ毎シーズン素材や色味やちょっとデザインを変えながら展開し続けています。

実はこういうデザインのジャケットがずーっと欲しかったんです。そのきっかけはさかのぼること15年以上前かな、海外コレクションを見にミラノやパリに行っていた時、このデザインのジャケットを着た、素晴らしくお洒落なオジさんを数多目撃したから。その着こなしが新鮮で印象的だったのです。
仕立ての良さそうなピンストライプのスーツ、ブルーのシャツにビシッとレジメンのタイを締めて、そのうえにこのジャケットを羽織り、BMWの大きなバイクに乗って颯爽と走り去る・・・そんなオジさんがたくさんいたのです!

なんて格好いいんだろう‼︎と、ほんとにビックリ。日本ではそんな洒落たビジネスマンなんて見たことなかったから。端正なスーツにカジュアルなジャケット。これは真似したいと思いました。たしかにバイクに乗るので長い丈のコートは着れないもんね。そしてきっとバイクに乗るから機能的な服であってほしいハズ。この手のジャケットはポケットが多かったり、ジップとボタンの両方が付いていて扱いやすいうえに防風に優れている。だからこのデザインのジャケットというチョイスなんでしょうけど、見事なオン服とオフ服のミックス加減が、さすがヨーロッパの男性は上手だわ。もともとお洒落な男のひとにはコーディネートのヒントをもらうことが多い私、この着こなしも取り入れさせていただいてます(さすがにタイは締めないけど)。

お次はエンジニアード ガーメンツのもの。アメリカントラッドやミリタリーの要素を加えたアメリカンクラッシックを意識したブランド。実用的、機能的でありながらファッション感度の高い服が多く、ユニセックスなサイズ展開をしている(XXS〜XL)。つまり男物の本格的機能志向とお洒落心が結びついたスタイリッシュな服を女性サイズでも展開している稀少なブランドなのです。

レディースブランドでもマニッシュな服はいまやたくさん見つけられるけど、細部にわたって機能的なこだわりが発揮されているものはなかなかない。ポケットがやたらあったり(内ポケットが3つもあるとか、笑)、ジップがやたら頑丈だったり、レディース服にはないそんなこだわりがカッコいい。
イカしたメンズ服を見るにつけ、これのそのまま小さくなったレディースものは無いのかー!と度々思っておりました。エンジニアード ガーメンツはまさにそれを具現化していた理想のブランド。メンズライクな服が好きな方にはオススメのブランドです、気になる方はチェックしてみて下さいね。

このジャケットも外ポケット4つ、内ポケット2つ、エルボーパッチ(消耗の激しい肘部分のあて布)、太めのジップ、ウエストのドローストリング、袖の径の調節ボタン、フードなどなど、なんかいいんです! 機能満載の男臭さが(誉め言葉です、笑)。本格的なメンズ服を女性が着る、その時合わせるレディース服とのちょっとしたミスマッチ感がお洒落に見える気がするのです。
私はこのジャケットには、あえて女性ならではの綿ローンや麻とかの薄手の白シャツ(ちょっと透け感というか抜け感があるもの)に足首が見えるくらいの丈のインディゴのスリムストレートデニム、素足にローファー、なんていう着こなしをしています。アウターは完璧男っぽいのに、インは女性らしい、そんなバランスを楽しんでいます。

一見オジさん臭い「オジさんアウター」、実は爽やかに“フェミニンさを際立たせるスパイスアイテム”なのかもしれません!

文/青木貴子
撮影/植一浩


青木貴子/スタイリスト
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青木貴子/スタイリスト
ファッション誌、広告などで幅広く活躍する人気スタイリスト。著書『センスは「ある」ものではなく「磨く」もの おしゃれ方程式』(PHP研究所)では、役立つおしゃれハウツーを指南。お気に入りレシピと器について綴った料理本『友だちを呼ぶ日のごはん、わたしのごはん』(扶桑社)も人気。
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